愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「2022年の経済イベント“年の瀬の総括”と“2023年の注目点”」を解説

本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

12月14日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメント株式会社フェローの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「2022年の経済イベント“年の瀬の総括”と“2023年の注目点”について」というテーマでお話を伺いました。

(左から)宗正彰さん、マンボウやしろ、浜崎美保


◆円安はだんだんと落ち着いてくる?

浜崎:宗さま、今回は「2022年の経済イベント“年の瀬の総括”と“2023年の注目点”」についてお話しいただけるということですが。

やしろ:まずは日本時間の昨夜(12月13日)。このスカロケ資産運用部でも注目してきた「アメリカの消費者物価」の最新の数字が発表されたようですね?

宗正:発表された最新の数字は、前月11月の消費者物価です。前年比で7.1%の上昇は、まだ物価は上がり続けてはいるものの、マーケットの予想を下回る水準。

しかも上昇率は5ヶ月連続で前の月を下回ったということで、いよいよアメリカの物価高もここに来て落ち着きを見せてきた、ピークアウトの兆しが見えるといった内容でした。これまでアメリカの中央銀行、FRBは4会合連続で0.75%という異例の利上げを行ってきました。普通は利上げしても0.25%、その3回分を×4回も続けてきたわけですからね。

やしろ:それはすごい!

宗正:次の会合でも利上げは続くと思いますが、こうなると0.5% 程度の利上げで収めてくるでしょうね。

やしろ:最新のアメリカの消費者物価の数字は、私たちの暮らしにどのような変化を与えるのでしょうか?

宗正:昨夜のアメリカの消費者物価の発表直後には、1ドル137円台から135円台まで一気に円高が進みました。ここまでの日本国内の物価高の要因は資源高と円安ですから、国内物価の上昇も徐々に落ち着きを見せそうです。

やしろ:これは私たちにとっては良いニュースですね。

宗正:ただ、今お話した通り、当面の間は上がり続けることにはなります。上昇幅が縮小するということです。

やしろ:それは、どうしてですか?

宗正:お店に並ぶ商品の原価、つまり仕入れ値は過去の円安の時期に仕入れたものですから、為替が円高に向かったからと言って、すぐに売り値に反映されることはありません。少なくとも来年の春くらいまでは値上がりが続くと見ています。ただし、ここから先の仕入れについては、輸入関連企業の多くが為替予約をしています。大体1ドル135円から140円程度の範囲です。と言うことは、この範囲で為替が推移すれば、大きな値上げには至らないはずです。

やしろ:ようやく出口が少し見えたかなという段階かもしれませんね。そしてアメリカの景気といえば、イーロン・マスクが買収したTwitter社をはじめ、大手IT企業の大リストラが目立ちますが、何か関係はあるのでしょうか。

宗正:これはまさに関係しています。アメリカの利上げの主な目的はインフレ抑制、つまり景気を減速させて物価高を抑えることです。

コロナ禍のアメリカは意外に好景気でした。しかも、TwitterやGAFAと呼ばれるGoogle・Amazon・Facebook・Appleの主な事業は景気と連動しやすい広告事業です。言い換えれば、こういった企業がリストラを行っているのは、来年以降のアメリカ景気の減速を見据えた動きとも言えます。

やしろ:なんでこんなに? と思っていたんですけど、それは来年以降を見越していたんですね。

宗正: IT業界はコロナ禍の3年間、世の中のオンライン化に伴って急速に需要が高まりました。その過程で人を多く採用し過ぎたという側面もあります。

やしろ: それは大手IT業界に限った話なのでしょうか?

宗正:例えば金融業界も今後は同様の動きになると思います。コロナ禍で経済活動に回らなかった資金は株式市場に流れ込んで、ニューヨークダウは高値を更新、金融業界は潤いました。この業界の業績も景気との相関性が高い。来年以降の景気減速が予想される中、環境的にはIT業界と似ていますね。

◆FTXの経営破綻は、健全化につながる1つのステージ

やしろ:暗号資産業界大手のFTXが経営破綻したというニュースも連日耳にします。マーケットや景気にはどのような影響がありそうですか?

宗正:まず初めに、暗号資産と仮想通貨の2つはまったく同じものを指しています。当局から「通貨じゃないでしょ?」ということで、名称が暗号資産に改められました。

やしろ:仮想の方が問題で、言い方を変えたのかなと思っていました。

宗正:暗号資産で分かりやすいのは、トップシェアで歴史も古いビットコインです。

FTXは業界でもトップクラスの暗号資産交換業者です。負債総額も日本円で最大で7兆円、顧客も全世界に100万人以上ということで、経営破綻後は他の金融資産へのマイナスの影響が懸念されていました。

ただ、今のところはそこまでの大きな影響は出てきていません。暗号資産は、まだまだ世の中に生まれたばかりの新しい金融資産です。暗号資産って、よく「ハイリスク・ハイリターン」って言われますよね。これは当たり前の話です。生まれたばかりなんですから。むしろ私は、今回のFTXの経営破綻が今後の業界の健全化につながれば良いと思っています。

◆今年のクリスマスの経済効果は7,000億円程度

やしろ:もうすぐクリスマスです。今年のクリスマス商戦の動きはどんな感じでしょうか?

宗正:国内では先月の11月23日の勤労感謝の日あたりから来週末のクリスマスイブまでが本格的なクリスマス商戦期間。今のところ物価高の割には、小売業界全体ではほぼ計画通りの売り上げを達成しているようですね。ただ、残り2週間が勝負ですから、油断はできません。

それから私、1つ気になるのが、最近のクリスマスは自宅で過ごす人がかなり増えているということです。

やしろ:コロナ禍もあれば、経済のこともあるとは思いますけれども、本当に多いですよ。

宗正:これは生活スタイルの変化で、いわゆる家の中で過ごすクリスマスと外で過ごすクリスマスとでは、お金の使い方とその金額が大きく違うわけですよ。年間を通じてイベントの数も増えたので、クリスマスの特別感も薄れてきた。具体的には20年前の国内のクリスマスの経済効果は1兆円でした。ところが今は、7,000億円程度です。

やしろ:ハロウィンの方にだいぶ持っていかれたのかな?

宗正:ちなみにハロウィンやバレンタインの経済効果は1,000億円程度です。

やしろ:クリスマスに比べたら、そんなものかもしれないですね。

◆2023年の注目点、1つだけ挙げるとすれば何?

やしろ:今年最後のスカロケ資産運用部です! 1つだけ来年の経済にかかわる注目点を挙げるとすれば何でしょうか?

宗正:この番組のリスナーの皆さんにだけですよ。特別ですよ!

やしろ:ありがとうございます! ぜひ特別に教えてください!

宗正:日銀の黒田総裁が来年の春には任期満了で交代します。在任中の10年間はほぼ低金利政策、金融緩和政策を続けてきました。ところが、日本の消費者物価は目標としていた2%を超えて、既に欧米諸国は1年以上も前から利上げに金融政策を転換しました。

国内物価の状況も踏まえれば、利上げに大きく舵を切っても決して不思議な状況ではありません。総裁交代のタイミングで金融政策の検討や見直しの可能性はもちろんありますが、早ければ年内にも方向転換と同様の表明があってもおかしくはないと見ています。

昔から「金利は経済の体温計」と言われます。景気が良ければ上がりやすく、悪ければ下がる。金融政策の方向転換は日本経済の隅々まで大きな影響を与えることになるでしょう。

*   *   *

もっといろいろな経済のお話が聞きたいという方は、宗さまのAuDee(オーディー)「宗正彰の愛と経済と宗さまと」でも聴けます。毎月10日、20日、30日に配信していますので、そちらもぜひチェックしてください。

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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/

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