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太陽の「黒い点」。「黒点」のお話

太陽の「黒い点」。「黒点」のお話 岡山天文博物館
太陽の「黒い点」。「黒点」のお話

太陽の「黒い点」。「黒点」のお話

天文宇宙検定受験講座「目指せ!星博士ジュニア!!」

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今回の解説は、岡山天文博物館 増田さんです。

問題:太陽の表面に見られる黒点の温度は、そのまわりの温度に比べてどうか。
太陽の表面温度=約6000℃
黒点の温度=約4000℃ と温度が低いために暗く(黒く)見えています。

黒点の温度は低いですが、磁場がとても強いことが分かっています。
私たちが住んでいる地球も磁場を持っていますが
黒点の磁場は、地球の数千から1万倍の強さをもっています。

この強い磁場で太陽の表面から出てくる熱や光が妨げられ
温度が低くなっていると考えられています。

黒点には、小さなものから地球の何倍にもなる大きなもの、たくさんの黒点が集まった「黒点群」と呼ばれるものがあります。
その形や数は変化し、一日で消えるものもあれば、一カ月近く見えているものもあります。
長い期間見えている黒点でも、いつも同じ位置で見えているわけではない。

太陽も自転しているため、黒点は、東から西へ移動していきます。
「太陽が自転している」とはじめて気づいたのは、天文学者「ガリレオ・ガリレイ」です。

ガリレオは、毎日望遠鏡で太陽の観察を行い、黒点のスケッチを残しています。
黒点の数は、太陽の活動と関連しています。
太陽の活動は、約11年の周期で変動を繰り返していて、その周期によって黒点の数も増減しています。
太陽の活動が活発で、黒点の数が多い時期を「極大期」
太陽の活動が落ち着いて、黒点の数が少ない時期を「極小期」といいます。

現在、太陽の活動は、活発で
2025年頃に活動のピークを迎えるのではないか?と予想されています。

岡山天文博物館では、太陽を観察することができる「太陽望遠鏡」があり
晴れている日には、黒点や炎が噴き出しているようにみえる「プロミネンス」を見ることができます。
「極小期」には、黒点が出ていない日も多かったのですが
現在は、いくつもの黒点を観測できます。

太陽の活動が活発になると、黒点の数も増えますが、「フレア」という爆発現象も起こりやすくなります。
「フレア」が起きると地球にやってくる「紫外線」「X線」「太陽風」などの量が増加し
通信障害や人工衛星の故障、停電などの様々なことが起きます。

過去には、カナダ・スウェーデンで大規模な停電が起こり、多くの人の生活に影響がありました。
今後、大規模なフレアが起こったとき、スマートフォンやインターネットが使えなくなり
警察や消防署で使用する無線にも影響を及ぼす。と言われています。
こうしたトラブルが起きないように、24時間太陽の観測が行われ
「宇宙天気予報」といって太陽の活動レベルを発表しています。
それによりフレアの発生が予測でき、事前の準備が出来るようになりました。

岡山天文博物館の隣にある
国内一大きな望遠鏡の京都大学岡山天文台「せいめい望遠鏡」では
太陽と同じような「恒星」の観測も行っています。
それにより若い頃の太陽がどのようにして地球などの惑星の大気に影響を与え
生命環境がどのようにつくられたのか
今後、太陽が地球に与える影響を知る手がかりとなります。

黒点のことを含め、太陽についてまだわかっていないことがたくさんあります。
多くの観測を行い、恒星や惑星科学の大きな手がかりを得ることを期待されています。

以上解説は、岡山天文博物館 増田さんでした。