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最も表面温度の高い星は何色?

最も表面温度の高い星は何色? 岡山天文博物館
最も表面温度の高い星は何色?

最も表面温度が高い星は何色?

天文宇宙検定受験講座「目指せ!星博士ジュニア!!」

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解説は、岡山天文博物館 大島さん

「最も表面温度の高い星は何色?」でしたが、
夜空にはたくさんの星が輝いています。
これらの星をよく見比べると、赤い星や黄色い星、青白い星など
いろいろな色の星があることに気が付くと思います。

例を挙げると
「春」春の大曲線をつくる1等星「アークトゥルス」がオレンジ色の星
おとめ座の1等星「スピカ」が青白い星。その色から麦星、真珠星と呼ばれていました。
「夏」さそり座の1等星「アンタレス」が赤い星。
こと座の1等星「ベガ」が白い星。このベガは七夕の織り姫星としてよく知られています。
「冬」オリオン座の左肩にある1等星「ベテルギウス」が赤い星。
右下の1等星「リゲル」が青白い星。
すぐ近くにある、ぎょしゃ座の1等星「カペラ」は黄色い星。

このように様々な星の色があるのはなぜでしょうか?
何が星の色を決めているのでしょう?

皆さんは、鍛冶屋さんが鉄を真っ赤に加熱してハンマーで力強くたたいている場面を
テレビや動画で目にしたことはありませんか?
十分に加熱した鉄は、まぶしいほど白っぽく光っていますが、
作業をしてだんだん温度が下がるとともに黄色くなっていき、そのうち赤黒い色に変わっていきます。
このように、物体の色は、温度と関係があるのです。

物体の温度が低いときは、波長の長い赤い光がもっとも強く出ていて
温度が高くなるほど、波長の短い青い光が強く出るようになっていきます。
これは、星の場合も同じです。

星の色が赤からオレンジ、黄、白、青白となるにつれて星の表面温度が高くなっていきます。
おおまかにいえば、赤い星アンタレスの表面温度は、約3500度
オレンジ色のアルクトゥルスは約4000度、黄色い星カペラは約6000度です。
さらに、白い星ベガは約9500度、青白く光るスピカは約12000度という高温です。
太陽の表面温度が約6000度なので、黄色い星といえます。
星の色を観測することによって星の温度を知ることができるのです。

ちなみに、温度が低いほうの話もしておくと、
宇宙空間の平均温度は、マイナス270度といわれています。
この温度も空間からの電磁波を測定することによって知ることができました。
宇宙は無数の恒星からのエネルギーで熱くなりそうなものですが、
地球でいえば地表や雲や大気のようなエネルギーをしっかり受け取る物質がないために温度が上がりません。

光についてもう少し詳しく説明すると、
光には波の性質があるのですが、水面の波や音などとは違って真空中を伝わることができます。
宇宙で輝いている星は、非常に高温の気体の巨大なかたまりで、その表面から熱や光を出しています。
こうして出た光の波は、真空の宇宙空間をはるかかなたの地球まで伝わってきます。
私たちがみているのはその光です。
私たちの目は、光の波の細かさを虹の色のようにさまざまな色としてとらえることができます。
波の細かさを波長といいますが、長い波長の光はオレンジ色や赤色に見え、短い波長の光は青や紫色に見えます。
星が出している光にはいろいろな波長の光が含まれていて、それぞれの強さや混ざり具合に特徴があり、これをスペクトルといいます。
スペクトルを詳しく調べることによって、星の表面温度の違いや、含まれている物質の種類などを知ることができるので
星をきちんと分類することができるのです。

人は、どのようにして色の違いを見分けているのかを簡単に説明します。
太陽や電球のように、光を出している物体を光源といいます。
多くの場合、光はいろいろな波長の光を含んでいて、それぞれの波長に応じた色があります。

一方で、いろいろな光の色を「光の三原色」と呼ばれる、赤、緑、青の光をいろいろな強さで組み合わせて作ることもできます。
私たちの目の奥にある網膜には、光を感じる2種類の細胞があり
ひとつは光の明るさを感じる細胞、もうひとつは、特定の光の色の強さを感じる細胞で、光の三原色である赤、緑、青に対応しています。

これらの細胞が感じた光の信号の強さを脳で処理して、異なった色として感じているのです。
ちなみに、テレビやパソコン、スマホの画面では、赤緑青3色の細かい点が光っています。
虫眼鏡やルーペで見てみるとおもしろいですよ。

星からの光を調べる際に重要なのが、スペクトルですが、
これは光を分解して、どの波長の光がどれくらい含まれているかを示すものなので、
私たちの目と脳が行っている作業を観測装置で行うようなものなのです。

さらに、スペクトルの中にある輝線とよばれる特に明るい部分や、暗線と呼ばれる暗い部分などの様子から
どんな物質が光を出しているのかも分析できます。
当然、これらは目で見たのではわかりません。

身近なものとしては、太陽の光、白熱電球、蛍光灯はそれぞれ特徴のあるスペクトルを示します。

実際の観測では、その星が何万光年も離れていても、届いた光のスペクトルを分析することで
その星の温度や光を出している成分、近くに存在するガスの成分などを調べることができるので
その星にどのようなことが起きているかを推測できます。

このようにスペクトルにはたくさんの情報が含まれていて、宇宙の謎を解明するための重要な手がかりなのです。

解説は、岡山天文博物館 大島さんでした。