☆ 好きです・・・キスしていいですか? ☆

とあるFM放送局に1通の手紙が。パーソナリティー『コスギちゃま』は一目散に封を切った。手紙の主は番組に毎回メッセージをくれているレディオネーム『牛すき釜玉』ちゃんだった。手紙には・・・
「いつも楽しく聴いてます。・・・今度の公開録音イベント絶対に行きます。その時は握手してくださいね♪」・・・
そして公開録音イベント当日。50人くらいは来てくれているだろうか・・・右後方にジャンプしながらピンクのハンカチを振ってくれている、長澤まさみのマネをしている山田孝之に似た女性に目がいった。公開録音が始まってからも、ずっと彼女の視線が気になっていた。公開録音が終わり、サーッとお客さんが去っていく中、彼女が歩いてきた。
「レディオネーム『牛すき釜玉』です。・・・小杉崎くん、元気にしてた?中学の同級生で2年の時に転校しちゃった○○です。」
一瞬で記憶がよみがえった。片思いだった○○ちゃんだ!ドキがムネムネしていると、彼女が言った。
○○ 「今日は何の日か知ってる?」  コスギちゃま 「い、いやぁ~・・・」  ○○ 「キスの日・・なんでしょ?」  コスギちゃま 「そだねぇー・・」  ○○ 「私、ずっと好きだったんだよ♪ 今ここでキスしてもいい?」  コスギちゃま 「ここで?」  ○○ 「うん」・・・。
ザワついているイベント会場で、コスギちゃまは彼女をいきなり抱きしめてキスをした!
ガツン!
コスギちゃまの唇と白い歯に衝撃が走った!
よく見ると、抱きしめたのは彼女ではなくマイクスタンドだった。そこには○○ちゃんはいなかった。一体、なんだったんだろう。確かに○○ちゃんだった。
久しぶりに甘酸っぱい気持ちを思い出したコスギちゃまは、今日もレディオでリスナーに投げキッスを贈る・・・
【 完 】

トロイの三角木馬

広島県 / 男性 2018/5/23 14:11