【世界に一つだけの物語】として投稿させていただきます。1000文字枠に収まりませんでしたので、恐れ入りますが2分割で送らせていていただきます。

これは先月6日、実際に私の身に起こったできごとです。
その朝は月に二度の、瓶、缶ゴミの収集日で、近頃急増し、もはやゴミステーションへ妻が運べる限界を超えたウ井スキーや日本酒の一升瓶の空瓶を出勤前に私がゴミステーションへと運んだのでした。専業主婦である妻は私にゴミ出しや家のことをさせるのを嫌がりました。私はその朝はひどく疲れが残っており、随分眠く、できれば小分けにしてでも妻にゴミ出しを代わってほしい、などとわずかに思ったことが思い出されます。
私はある金融機関の一支店の管理を任されており、その朝も例によって自店の芳しくない営業成績について朝礼で檄を飛ばそうとしたその時でした。あれ?しゃべりにくい!!いつもと活舌が違う・・・私のような中間管理職のおっさんのことなど普段なら気にもかけない部下たちが口々に様子がおかしいだのすぐに病院に行くべきだのやかましく言ってきました。彼女らのただならぬ様子から尋常ならざるものを感じた私はその言いようから、どうやら自分の脳に異変が起こっているらしいことを察知し、すぐさま脳を診てもらえる病院をネットで検索、直ちに向かったのでした。病院へ着くと車椅子に座らされ、今自分がどれだけ深刻な状態に置かれているのかを突き付けられました。そして次にMRI室。けたたましい鳥のさえずりのような音が響く部屋で巨大なドーナツのような装置の前で横にならされ、体をベルトで固定され、ああ、これですべてがわかるんだ、早く結果を知りたいと思いつつ、体を横にできた安堵感、休息に対する欲求が満たされていく感覚に浸りながらこのドーナツから出た時には今直面しているこの深刻な事態からもきっと解放され、日常に帰れる、などと楽観的に考えていました。しばらく待たされ、いよいよ医師との面談、結果発表の時がやってきました。『生活習慣ですね』医師は開口一番そう言い、先ほどのMRIの写真の中央あたりに白い十字架のように映っている個所を指し示し、『脳梗塞です』と言い放った。え!?なんでよりによって自分がそんな重病に…奈落の底に突き落とされたようなお先真っ暗という言葉がピッタリの瞬間でした。そして緊急入院。

Yatch

兵庫県 / 男性 2019/7/22 12:46