怖い話・苦情

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こんばんは、208号室の「みら」です。
私は、すぐに寝付くほうで、これまで、不思議な体験なども、したことはありませんでした。

でも、のぞみる荘に入居してすぐ。アレが始まったのです。

そう、金縛りです。

かろうじて、重いまぶたを動かして、目を開けることは出来るのですが、体がこわばって、なにかに、押さえつけれているような感じがします。出入り口に、なんだか気配を感じるのですが…、頭を動かすことは出来ず、目を向けることが出来ません。恐怖のうちに私は…失神しました。

…これが一週間続きました。

私は、七日目の朝、「そうだ!管理人さんが言っていた。…自転車のサイドミラーだ!」と思いつき、昼間のうちに、買ってきたサイドミラーを「ちゃぶ台」に取り付けました。

そしてその夜。

来ました。…金縛りです。

私はゆっくりと目を開け、薄暗い中、慎重に角度を調節しておいたサイドミラーに、少しづつ…目玉を動かして、覗き込みました。
丁度、出入り口の扉のあたりが写り、建て付けの悪い扉が…ギギッ…ギッ…ギッ…ギッ…
ゆっくりと、ひらいていくのが分かりました。

「あ」。

そこには、ウサギのような耳のある…何かと…、
クチから、なにか、ヌメヌメ、ヌラヌラとした液体を垂らす…丸いシルエット。

そうです、あれはのぞみる荘の住獣。
こぶしちゃんと、よだれ丸!

「あの子たちは、怖くない」なんてこと、私だって住獣(じゅうじゅう)承知なんですけど…

どうなってるんですか? これはどこに苦情を出せばいいんですか。管理人さん!

…住民の皆さん、しっかり戸締まりして下さいね…。

みら中尉

神奈川県 / 女性 2020/10/3 10:02