新谷ゆづみにおすすめの一冊(一冊とは言ってない)

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新谷さんスタッフの皆さんこんにちは。

「新谷さんにおすすめしたい一冊」という事で、(もう一つ)紹介したい作品は「鹿の王」です。

故郷を守るための戦いに敗れ岩塩鉱の奴隷となった主人公ヴァン。ある夜、犬の群れに襲われた岩塩鉱では謎の病が発生。ほとんどの奴隷が死んでしまった中生き延びたヴァンは、もう一人の生存者である幼児を連れて岩塩鉱から逃げ出します。
もう一人の主人公、医師のホッサルは謎の病気の原因解明のため岩塩鉱へ向かいますが、彼はこの病こそが自分の故国を滅ぼした病なのではないかと疑い始めます。そして病の治療のために、この病にかかりながらも生き延びて逃亡したヴァンを探し出すよう従者に命じます。
病から生き残った親子と病を克服しようとする医師が交わったその先にある物語とは…

という、「冒険ファンタジーと医療サスペンス」が高い次元でミックスされた作品です。
しかも発表されたのは2014年なのですが、今の新型コロナの時代を予言しているんじゃないかとさえ思われる内容で、ファンタジーなのにとてもリアリティを感じられたりします。2015年の本屋大賞と日本医療小説大賞をW受賞した作品であり、冒険小説としての面白さと医療小説としてのち密さはお墨付きともいえます。

また、続編(外伝)として「鹿の王 水底の橋」という作品もあり、こちらはホッサルを主人公に「医療と宗教と政治」を描いておりこちらも深く深く考えさせられる作品になっています。

著者の上橋菜緒子さんは他にも「守り人シリーズ」「獣の奏者」などの作品があり、児童文学者にして和製ファンタジーの第一人者でもあります。
「守り人シリーズ」は実写化・アニメ化され「獣の奏者」もアニメ化されましたが、この「鹿の王」もアニメ映画の公開が決定しているようです(しかも主人公のヴァン役は堤真一さん!)。

文庫本だと本編4冊外伝1冊の計5冊という長編になりますが、秋の夜長、「面白い作品を読み終わるのが勿体ない派」の新谷さんにはちょうどいい長さではないでしょうか。
是非ご一読を。

デルタヌキ。

神奈川県 / 男性 2021/10/18 09:32