私の忘れ物エピソード

新谷さんこんにちは。

さて、20年ちょっと前のお話です。
大阪の伯母が亡くなったという知らせを受けた私はお通夜に参列すべく、礼服や数珠など必要なものを車に積み込み横浜から大阪に向かいました。お通夜が始まる30分ほど前に葬儀場に到着し、礼服に着替え…ん?あれ?

「ベルト忘れた…。」
そうなのです。私は伯母のお通夜という厳粛な場にベルトを忘れて行ってしまったのです。
タイミングの悪いことに、結婚式を控えてダイエットしていた私は礼服を作った時より10kg近く減量しておりスラックスのウエストはスッカスカのゆるゆる。ベルトで無理矢理締め付けないといわゆる「腰パン」状態になってしまいます。
どうしようかと悩みましたが、私服ではベルトをしない私はカジュアルなベルトですら持っていないし、どこかで買ってくるにももう時間がない。
諦めた私は「基本座りっぱなし。ジャケットの前ボタンは絶対に外さない。立ち上がる時はジャケットの上からスラックスのウエスト部分をさりげなくつまみ上げ続けて何とか誤魔化す作戦」を敢行することにしました。
しかしながらそこはお通夜の席。「お焼香」という避けては通れない行為が私を待っていました。
まず立ち上がり、ジャケットの上からウエスト部分をつまみ上げながらご遺族の前に移動、手を放し両手を伸ばしてご遺族に一礼(ズルッ←スラックスがずり落ちる音)。改めてスラックスをつまみ上げ焼香台の前へ移動し両手を伸ばして遺影に一礼(ズルッ)。今度は右手でスラックスをつまみ上げ左手に数珠をかけ…右手をスラックスから離して抹香をつまみ香炉にくべて合掌(ズルッ)。少し下がって一礼しスラックスをつまみ上げて遺族の前に移動し両手を伸ばして一礼(ズルッ)、またまたスラックスをつまみ上げてようやく自分の席に戻る、という何ともおかしな行動になってしまいました。

通夜が終わった後親戚から「あんた何しとん?」と言われ事情を話すと「アホやなぁ…」と一言。
それ以来冠婚葬祭で礼服を着る機会がある時にはベルトは勿論ネクタイと靴(どちらも忘れがち)だけは絶対に忘れないよう何度も何度も確認する癖がつきました。
最も今となっては礼服のウエストはむしろキツキツで、ベルトで締め付けるどころかボタンすら留まらなくなるかもしれないという可能性に恐れおののいている今日この頃です。

デルタヌキ。

神奈川県 / 男性 2022/8/31 22:46