僕の雪エピソード

新谷さんスタッフさんこんにちは。

これは30年以上前、大学4年生で卒業論文の追い込みにかかっていた、雪の日の話です。
当時はパソコンも普及しておらず、教授部屋にある1台のパソコンを交代で使って卒論を書いていました。
その日は僕がパソコンを使える日。慣れないパソコンとお昼頃から格闘し、気が付いたらもう夜中。隣の研究室にはギリギリまで実験を続けるゼミ生達。

突然部屋が真っ暗に。状況が理解できず暗闇で呆然と何も映っていないモニターを見つめる僕。
周囲に飛び交う悲鳴で我に返った僕はようやく事態を理解しました。積雪による停電です。
そしてその悲鳴は、僕と同じように卒論を書いていた学生達の「せっかく入力したデータが全部吹っ飛んだぁぁぁあぁ!!!」という悲痛な叫びだったのです。
僕も叫びこそしませんでしたが、「ど、どこから保存してなかったっけ…」と軽いパニックに陥りました。が、そんなことを考えたところで後の祭りです。少なくとも数時間分の作業が全て無駄になったのです。真っ暗な部屋で真っ暗なモニター画面を見ながら、頭の中は窓の外の雪景色の様に真っ白になっていました。
しかしながら、停電でパソコンが動かない以上そこにいてもやることはないので隣の研究室へ移動。するとそこには表情をなくしたゼミ生達。

実は僕が所属していたのは微生物を扱うゼミだったのですが、生物が相手なこともあり実験も数日かけて行うものも多く、途中で機材が止まったりすると「ハイやり直し」という世界。卒論大詰めの段階で数日間にわたる実験が水の泡となったゼミ生達の悲嘆は僕の比ではなかったことでしょう。
外は雪がしんしんと降り積もり、停電で暖房も止まった研究室の寒かったこと寒かったこと。
とりあえず研究室にある実験用のガスバーナーに火をつけて暖を取りながら電力の復旧を待ちましたが結局朝になっても停電したままだったので「…とりあえずいったん家に帰ろうか…」と学校を出て駅に向かう僕たち。道に降り積もった雪に悪戦苦闘しながら駅に辿り着いた我々に突きつけられたのは「大雪で電車も動いていない」というもう一つの現実でした。

あ。
僕も含めたゼミ生全員、何とか卒論を提出して無事卒業できましたよ。
そしてパソコン作業中はこまめに保存する癖が身に着きました。

デルタヌキ。

神奈川県 / 男性 2023/1/19 21:49