ブラボー‼️ #劇場版怪獣

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新谷さん、こんにちは。

昨日、シモキタ-エキマエ-シネマ『k2』にて、映画「怪獣は襲ってくれない」を鑑賞させていただきました。メインキャスト3人が約半年ぶりに再会したアフタートークの興奮も醒めやらず、一夜明けてようやく言葉にすることができています。

観る前は、「こっこにまた会える」とか「あの夏の感動を再び」といった動機でした。だから、上映開始から10分くらいは、ある種の懐かしさを覚えつつ、自分が観た舞台の記憶と映像を照らし合わせて楽しんでいました。「ダーリンダンス、やっぱ可愛いわ!」とか。外からトー横を眺める感覚でした。

ところがしばらくすると、傍観者ではいられないという、この作品独特の引力の虜になっている自分に気付きます。しかし、「なんだろう、この感じ?」舞台の時の一体感とは別種の没入感とでも言えばよいのか。

舞台の場合、視点のスイッチは観客の側にあります。しかし、映像化の過程でこのスイッチは一旦監督の手に渡り、観客は監督が切り取ったフレームの中の世界を観ることになります。言い換えれば、観客は監督の意図や思いといったものを、舞台よりも忠実に受け取らざるを得ないわけですよね。「没入感」の一因はこの辺にあったのかもしれません。舞台として一旦完結した世界をわざわざ映像化したことには、こんな狙いもあったのか?「うーむ、岡本昌也、恐るべし!」

映像化されたことで、舞台では観ることのできなかった、各演者の微妙な表情の変化やその奥の感情までが手に取るようにわかり、とても良かったです。新谷さんの演技では、最終盤、舞台に向かって左上のスペースでの語り、携帯でパパに電話をかけさせられたのに切られたくだりのシーンが特に強く胸に迫って来ました。こっこの絶望がラストの絶叫へと繋がるシーンです。不条理な世界を拒絶する一方で、「私の話を聴いて!」と激しく受容を求める、こっこのあの叫びが耳から離れません。

今あらためて「怪獣は襲ってくれない」は素晴らしい作品だと確信しています。そして、主役の「こっこ」を見事に演じ切った、女優・新谷ゆづみに、昨日の終演時には送れなかった、心からの拍手を送りたいです。

さかな師匠

山形県 / 男性 2024/4/13 09:48