短くも激動の時代だった“大正時代”を深掘り 日本近代文学研究者「ものすごく若者の生命力が盛んで、混沌としていた時代」

放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。2月11日(日・祝)の放送は、日本近代文学研究者の山田俊幸(やまだ・としゆき)さんと「町田市民文学館ことばらんど」学芸員の谷口朋子(たにぐち・ともこ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から) 小山薫堂、山田俊幸さん、谷口朋子さん、宇賀なつみ



◆大正時代ってどんな時代だった?

今回は、「建国記念の日」ということにちなみ、日本の長い歴史のなかでわずか15年しかなかった大正時代に着目。現在75歳で昭和に生まれ育った山田さんに、まずは大正時代がどんな時代だったのか教えてもらうことに。

この質問をよく聞かれるという山田さんは、開口一番「“生命力の時代”と僕はいつも答えています」とキッパリ。さらには、「つまり大正時代というのは、ものすごく若者の生命力が盛んだった時代で、しかもそれがカオスのように混沌としていた時代。そういうなかで、子どもの力、学習力・運動力と、それから男子の力も段階的に育てられてきたんだけど、女子力もそうですよね。女子力が非常に整えられてきました。当然、学校教育によるものなんだけど、学校教育というのは常にドロップアウトをもたらしますから、そのドロップアウトした子たち、あるいは学校のなかにいながら集中したコロニーを作る女子たちが、ものすごい密度で凝縮した時代が大正だと思います」と解説します。

日本近代文学研究者でありながら、「大正・乙女デザイン研究所」の所長でもある山田さん。宇賀から同所の活動について尋ねられると、山田さんは「例えば、大正の封筒とか、書いたものとか、図案を見ていると妙に乙女チックな、乙女が好きそうなものが非常に多い。そういうものが目立つので、収集してまとめてみようかなと。それらを“大正イマジュリィ”というもう少し大きい考え方で捉えてみようと。イマジュリィというのは、イメージですね。大正時代の図版、1点ものではなく複製図版です。つまり民衆の時代とは複製の時代なので、そういうものをもう少し考察してみようかなと思ってやっております」と答えます。

その言葉に、宇賀から「大正時代って色が鮮やかだったりデザインがかわいらしかったりするイメージがあるんですけど、そうなったのはどうしてなんですか?」とさらなる質問が。

山田さんは「1つは、浮世絵から来る日本的な描き方の伝統と、海外から来ているヨーロッパ的なイメージのぶつかり合いというか、ごちゃ混ぜの面白さと言ったらいいんでしょうかね。やっぱり、明治の色とはまったく違いますよね。それは新しい化学染料の色なんですね。それをどんどん使っていたし、それを平気で使えちゃうのが民衆化ということなんですよね」と話します。

そして、番組後半には、東京・町田市にある「町田市民文学館ことばらんど」にて現在開催中で、山田さんが特別協力として携わっている展覧会「少女たちのお手紙文化 1890-1940 展 ~変わらぬ想いは時を超えて~」(3月24日(日)まで)にフィーチャー。

この展覧会がどんな内容なのかというと、同館の学芸員・谷口さんは「今から約100年前の一般の女学生が残した手紙を読むというのが1つのキーポイントになっています」と要点に触れつつ「文学館でご覧になるお手紙展は、川端康成や森鴎外、夏目漱石などの文豪のお手紙という感じだと思うんですけど、普通の女の子たちはお手紙に何を書いて何を表現していたのかを皆さんと読み解く展覧会です」と説明。


「少女たちのお手紙文化 1890-1940 展 ~変わらぬ想いは時を超えて~」のフライヤーを手にする宇賀なつみ



それを聞いた小山は「すごく面白そう」と興味津々。当時の手紙をどのようにして収集したのかとても気になる様子で、「手紙はどうやって集めたんですか?」と質問を投げかけます。

「お手紙自体は一般の方でコレクションしている方がいらっしゃったので、その方からお借りしています」と谷口さん。そして、「このお手紙展は女学生同士のお手紙になるので、内容的にはラブではなくて、先生の悪口とかも(笑)。夏休みとか冬休みに頻繁にお手紙のやり取りをしていて、『海水浴に行きました』『山登りをしました』『乗馬をしましょう』とか、いわゆるレジャーのお誘いや自分が経験したレジャーの報告、あるいは『映画を観ました』とか『ブロマイドを買ったよ』とか、自分の推し活の報告とかが書かれていますね」と手紙の内容について言及しました。

今回、番組内にて大正時代の女学生の手紙を、宇賀による朗読で紹介も。読み終えた宇賀が、手紙に綴られた言葉の端々に「知性を感じますよね」と感想を口にすると、小山も「知性と品を感じますよね。まるで皇室の方からいただいた手紙みたいな感じがしますね」とうなずいていました。

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2月11日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年2月19日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/

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