“読書バリアフリーの実現”に向けて…国立国会図書館の検索サービス「みなサーチ」を紹介

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

4月14日(日)の放送テーマは、「進化が止まらない! 国立国会図書館」。国立国会図書館・関西館 図書館協力課長の渡邉斉志(わたなべ・ただし)さんをゲストにお迎えして、国立国会図書館で利用できるサービスを伺いました。


(左から)杉浦太陽、渡邉斉志さん、村上佳菜子



◆国立国会図書館に出版物が集まる理由

国立国会図書館は、国会に付属する日本でただ一つの国立図書館で、東京本館(永田町)、関西館(京都府精華町)、国際子ども図書館(東京都上野)の3つの施設があり、日本で発行された本や新聞、雑誌などをできるだけ広く集めて、大切に保存しています。ちなみに、それぞれの本棚を一段ずつつなぎ合わせると約700kmにもなり、直線距離で東京都から山口県岩国市あたりまで続きます。

ではなぜ、国立国会図書館は多くの本を集めることができるのでしょうか。渡邉さんによると、国内で図書や雑誌などの出版物を発行した団体や個人には、それを国立国会図書館に納入することが義務付けられています(国立国会図書館法)。なお、国内の出版物といえば、本や雑誌をイメージしますが、それだけではなく電子書籍、CDなども納入の対象で、年間の受け入れ数は約87万点にものぼります。

国立国会図書館に保管された資料は、施設に直接来館することで閲覧できます。また、著作権法上問題のない資料は、インターネットサービスの国立国会図書館デジタルコレクションで確認でき、サイト上で資料を見聞きできるものもあります。

◆「読書バリアフリー」への取り組み

去年8月、小説「ハンチバック」(文藝春秋)で芥川賞を受賞された、作家の市川沙央(いちかわ・さおう)さんが、その贈呈式のあいさつで「読書バリアフリーの環境整備を進めてほしい」と訴えたことが、話題になりました。

“読書”と聞くと活字の本を読むことを想像しがちですが、視覚に障害がある方、腕や手などに障害があり、ページをめくることができない方などのために「音で聴く」「手で触れて読む」といった読書のカタチもあります。しかし、さまざまなカタチの読書に対応したコンテンツや、それらを手軽に利用できる環境は多くありません。

そうした現状を受けて、2019年6月に公布・施行されたのが「読書バリアフリー法」です。この法律により、多くの図書館や学校などが、活字の本による読書が困難な方に向けた読書環境の整備を推進しています。そのなかで、国立国会図書館では「読書バリアフリー」の実現に向けたさまざまな取り組みを実施しています。

その1つである「視覚障害者等用データ送信サービス」は、視覚障害などの理由で活字の印刷物の利用が困難な方に向けた国立国会図書館で利用できるサービスで、登録者は活字の本をもとに作成された音声データや点字データをダウンロードして、自分のパソコンやスマートフォンで、読んだり、聴いたりすることができます。

なお、ダウンロード時のデータ通信料は利用者負担になりますが「視覚障害者等用データ送信サービス」の利用自体に料金はかかりません。データは「地域の公立図書館」「大学などの図書館」などが製作したものを集めたもので、国立国会図書館が製作したデータも加えると、その数は250万点以上になります。

渡邉さんは「視覚障害の方だと、本の画像データだけでは楽しむことができませんが、テキストデータの形にすれば、音声読み上げソフトなどを使って資料の中身を確認したり、資料の本文に含まれる情報を検索したりすることが可能になります」と補足。テキスト化は順次進行しており、提供可能なテキストデータは今後も増える予定です。

また、既に点字データやテキストデータを製作して所有している図書館もあり、「文字を読むのが困難な方は、日頃から読み書きを補助する機器をお持ちですから、ご自身にあったデータを見つけて、ご利用いただければと思います」と話します。

さらには、障害のある方に対して利用しやすい形式の資料を探せる検索サービス「みなサーチ」(国立国会図書館障害者用資料検索)を1月5日(金)に公開。こちらは、障害の当事者や障害者団体の方から届いた意見を反映し、「音声の読み上げ」「画面拡大」「点字表示」「視線入力」など、どんな支援機器を用いても使いやすいページを目指して開発されました。

文字を読むのが困難な方は、情報を得る機会が限られている場合があります。普段の会話から、「視覚に障害がある方などに向けたデータ送信サービス」や「みなサーチ」の情報を広めて、サービスを必要とする人の元に届ける手助けをしましょう。最後に渡邉さんは「読書バリアフリーの実現に向けて、ご協力をよろしくお願いいたします!」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「国立国会図書館で利用できるサービス」について復習します。村上は「みなサーチ」をポイントに挙げ、「わかりやすくて、『みなサーチ』という音(の響き)も覚えやすいじゃないですか。必要とされている方に教えてあげたいなと思います」とコメント。

一方、“読書バリアフリー”をポイントに挙げた杉浦は、「点字やオーディオブックを必要とされる方だけでなく、僕らも年齢とともに本が読めなくなったりしますよね。そう考えると、読書バリアフリーはすべての人に共通するものですよね」と話していました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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4月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月22日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925

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