声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。先週の放送では、野島が愛用するロードバイクのホイール盗難事件を報告。12月26日(土)〜12月29日(火)の放送では、盗難被害にあった日の“帰りのタクシーなかで起きた事件”について語りました。
野島:この番組の収録後にホイールを盗難されて、警察に被害届を出して、終電もなくなってしまったのでタクシーで帰ることに。警察署でいただいた大きなビニール袋に自転車を入れて、タクシーを拾って乗車しました。
タクシー運転手さんが自転車を見て、「あら? 自転車ですか?」って聞いてきたので、「はい、ロードバイクです」と。盗まれた話をしたら長くなると思ったので、そこは何も語らず。
すると「自転車と言えばですね……」ってタクシーの運転手さんがしゃべり出したんです。なんと数年前まで、タクシーの運転手さんの娘さんが(女性の競輪選手による競輪)「ガールズケイリン」を目指して学校に通っていたそうです。
僕はその日、自転車のラジオを収録して、自転車のホイールを盗まれて、被害届を出してタクシーに乗ったら、「ガールズケイリン」を目指していた方のお父さんだったという。すごい偶然!
娘さんは1,000mの1分20秒がどうしても切れなくてプロを諦めたそうです。一流は1分10秒を切るらしいです。“10秒しか変わらないのに”って、素人の僕は思ってしまいますが、プロの世界はやはり厳しいんですね。
実際にプロになった人たちは、小学生から競技用の自転車に乗っている人が多いようです。あとは、親が競輪選手とかの人が圧倒的に多いので、体格に恵まれたりすることもあるんでしょうね。
娘さんが「ガールズケイリン」を目指すきっかけになったのは、高校時代のときのこと。当時から自転車が大好きで、学校の先生から「『ガールズケイリン』をやってみないか?」って言われて始めたそうです。先生からそんなふうに言われるってことは、やはり当時から素晴らしい記録を出していたんでしょうね。
ちなみに競輪学校は全寮制で、外部との接触も禁止でバイトもできない状態。運転手さんも「生活費はすべて親が払うんですよ」と話していました。
プロになった方は、給料や賞金をもらうことで回収していくんでしょうけど、そのまま諦めてしまうと、ただ授業料を払っただけで終わってしまう。だから本当に大変だったと。でも、娘さんはとにかく自転車が好きだったそうで、「競輪のバンク(自転車競技場の競走路)を走れて楽しかった」「やってよかった」と話しているそうです。
落車をして大きなケガをしたり、亡くなる方もいらっしゃるそうなので、お父さんとしては心配事が多かったと。あと、生命保険に入れないそうです。競輪選手専用の保険には入れても、一般の生命保険には入れない。それぐらい危険なスポーツということで、親としては「ぶっちゃけデビューしなくてよかった」と親心を感じるお話を伺いました。
夢を諦めた娘さんは、現在も自転車に乗っているそうです。ただ引退後、普通の生活で困るのが、“市販の服が着られない”こと。(競輪をやっていたので)脚がすごく太くなり、LL、3Lサイズの服を着ているけど、ウエストは普通なのでキューっと絞っている姿を見て、親ながら「変な格好だな……」と思うと話していました(笑)。
ちなみに、「ガールズケイリン」は自転車代も高くて、ディスクホイールという特殊なホイールを使っているので、それも高かったと。1回落車すると使えないので、出費が多かったと話していました。僕はパーツが好きなので、いろんなパーツの話をしているうちにサドルの話になって。細いサドルは食い込むという話から、運転手さんが下ネタの話に持っていき……(苦笑)。ちょうど自宅に到着したので、その下ネタ話を避けることができました(笑)。
さて、次回1月2日(土)〜1月5日(土)放送の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、 野島裕史のサイクルコラム「カングーのある生活」をお届けします。お楽しみに!