東大寺コンサート 狂言&音楽 第二夜 ~日本から世界に向けて~「奈須与市語(なすのよいちのかたり)」

かつてシルクロードの東の起点でもあった奈良・東大寺から、全世界に向けて、日本の伝統芸能である狂言、西洋の音楽オーケストラ、そしてアジア大陸の風を感じさせる二胡による競演を発信。今回は4月11日(日)に行われた第二夜「奈須与市語(なすのよいちのかたり)」の模様をお送りします。

「奈須与市語(なすのよいちのかたり)」

源平による八島の合戦の時のこと。海上の平家方より、扇を立てた一艘の舟が漕ぎ出だす。源氏の大将義経は、後藤兵衛実基の献策により、弓の名手・奈須与市宗高を召し、扇の的を射ることを命じる。初めは固辞した与市だが、義経の厳命にやむなく従う。与市は馬を海中に乗り入れるが、波に揺れる小舟になかなか狙いが定まらない。そこで神明に祈りを捧げると、不思議と的が一瞬静止する。すかさず放った矢は見事命中し、扇は夕暮れの波間にひらめき落ちる。源平両軍の賞賛の中、与市は大将義経の御感にあずかるのだった。

能『八島』の間狂言の特殊演出として演じられる語りで、奈須与市が扇の的を射た有名なエピソードを仕形話にしたもの。狂言の代表的な秘伝で、能とは別に単独でも演じられます。奈須与市・源義経・後藤兵衛実基などの人物を一人で演じ分ける華やかな仕形は、観る者を引き込まずにはいられません。

出 演:野村 万作
後 見:内藤 連