上村愛子「アスリートってドMでドSだと思う」“怖さ”と隣り合わせのモーグル現役時代を振り返る

プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」(毎週土曜 7:00~7:25)。1月7日(土)の放送は、フリースタイルスキー女子モーグル元日本代表の上村愛子(うえむら・あいこ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


上村愛子さん(左)とパーソナリティの丸山茂樹



◆怖さと隣り合わせのモーグル

丸山:まずは上村さんのキャリアのご紹介を。3歳からスキーを始め、学生時代にアルペンスキーからモーグルに転向し、1998年に初出場した長野オリンピックで7位入賞。ワールドカップや世界選手権などで優勝を果たし、オリンピックには5大会出場し、すべて入賞しています。現在は、フリースタイルスキーの普及のため、選手の育成にも力を注いでいます。そんな上村さんのモーグルとの出会いは何だったんでしょうか?

上村:私は、小学生時代の6年間はアルペン競技を一生懸命にやっていて。モーグル競技は、それほど古くからある競技ではなかったので、存在を知らなかったんです。

丸山:(モーグルは)歴史が浅いんですか!?

上村:浅いですね。私が始めた頃でようやくオリンピックの正式競技になって2大会目ぐらいだったので。

丸山:なるほど。

上村:中学2年生のときに、たまたまモーグルのワールドカップを観る機会があって、“コブってこんなふうに滑れるの!?”って驚きがあって。アルペンスキーはスピードを競う競技なんですけど、モーグルの採点競技も“面白そうだな”と思って、ジャンプして技を見せるとか、成功しても失敗しても観客も選手もひっくるめて拍手を贈るような雰囲気が、とても素敵な競技があるんだなと気づいて“飛び込んでみよう!”と思いました。

丸山:どこでスピードを加速させてとか、あのコブのライン取りというのは、全員一緒じゃないですよね?

上村:一緒じゃないですね。オリンピックのような大会になると、大体5レーンぐらい作られるんですね。右左右左……と5列ぐらい並んでいて、そのうちの1本、自分が“いいパフォーマンスができそうだな、これ”と思うものを自由に決めるんです。

丸山:そうなんですか!? (どのレーンを滑るのか)自由なのは面白いですね、

上村:公式練習が(本番の)2日前ぐらいからおこなわれるんですけど、そこでいろいろなラインを滑ってみて、自分の感覚で“いいパフォーマンスが出せるな”というコースと、採点競技なので、下でコーチに滑りを見ていただいて、下からの目線で「こっちのほうが合っているよ」などのアドバイスも聞いて調整して、一番いい場所を決めるんです。

丸山:そっか、採点競技だから。滑る傾斜は28度ぐらいですか?

上村:平均そのぐらいですね。

丸山:(コース長)約230mで、速度は約40km/hでしょ? 40 km/hというと、スクーターでビューンってあの急斜面を行くようなものだから、気合を入れて下りていけるのは慣れもあるんでしょうけど、ケガをするかもしれない恐怖とか感じなかったですか?

上村:“怖いな”と思った瞬間はたくさんあるんですけど、選手をやっていると毎週のように試合があって、“あのコースは怖かったな”“今回のコースは滑りやすいな”とか。場所も変わるし、ワールドカップになると(開催する)国も変わるので、怖かったことを若干忘れて、次のコースに集中しなきゃいけないというのもあって、ちょっとスパルタな感じで慣れていったかも(苦笑)。私はですけど。

丸山:ドMじゃないとやっていけないですね。

上村:本当にそうです(笑)。でも、アスリートってそうじゃないですか? ドMでドSだと思う。

丸山:そうかもしれない(笑)。

◆惜しくもメダル獲得を逃したソチオリンピック

丸山:輝かしい成績を残している上村さんですけど、“その採点は違うだろ”と一番思ったのは?

上村:出た採点やメダルを獲れなかったことを受け入れているので。“メダルを獲れたかも”と思うことはありましたけど、ジャッジが決めたことは覆らないし、という気持ちもあるので。

丸山:それは悔しいですね。

上村:ソチオリンピック(2014年・4位)が一番獲れたんじゃないかなって、今でも思っています。

丸山:その記憶がありますね。メディアでもやっていましたよね。

上村:私、普段は“ほわん”としたしゃべり方ですけど、滑りはすごくアグレッシブなんですよ。コブを越えるスキー技術を含めて、私は男勝りな技術に憧れていたんです。スピードをすべて自分のコントロール下においてきれいに下りるよりも、どれだけコブと闘って踏破できるかという滑りがしたかったので、すごくアグレッシブなんですね。

丸山:はい。

上村:ソチ大会のときの金銀メダリストは、すごく丁寧に減点をされない滑り方をする選手で。銅メダリストは(当時)世界ランク1位の選手(ハナ・カーニー選手・アメリカ)だったんですけど、彼女は若干アグレッシブで、大きな失敗を2回ぐらいしていて、そのミスを見たときに“メダル獲れたな”って自分のなかで思ったんです。彼女だけじゃないんですけどね。

丸山:なるほど。自分もジャッジできる位置にいるぐらい実力があるわけじゃないですか。

上村:自分は大きなミスもなかったし、決勝戦まで滑ったなかでも一番速いタイムだったので、“自分らしい滑りがようやくできた”と思って、ほっとしたというか、うれしかったです。

丸山:それは悔しいよね。

上村:悔しいけど、それこそジャッジスポーツでメダルを獲る難しさみたいなものを改めて感じて。やっぱり世界ランク1位の選手がミスをしたときの減点の点数と一緒なんですけど、決勝までの間、彼女が一番いいパフォーマンスを出したときに、このコースでは何点出せるかなんとなくわかるじゃないですか。

丸山:はい。

上村:そこから減点で引かれていくだけなので、私がベストの滑りをしても世界ランクを上げておかないと“敵わなかったんだな”というのはソチ大会で勉強しました。

丸山:なるほど。まず(選手としての)ブランド価値をつけておかなきゃならないと。

上村:そう。もっと“上村ブランド”を上げておかなきゃいけなかったんです。

次回1月14日(土)の放送も、引き続き上村さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/

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