“優等生”“活発で目立つ子ども”も「いじめ」の対象に…いじめをする側・される側に表れる“サイン”とは?

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。1月22日(日)の放送では、法務省 人権擁護局人権啓発課長の高橋史典(たかはし・ふみのり)さんと、人権擁護委員の榊眞理子(さかき・まりこ)さんをお迎えして、「『いじめ』させない! 見逃さない!」をテーマに話を伺いました。


(左から)青木源太、高橋史典さん、榊眞理子さん、足立梨花



◆全国で約1万4,000人いる人権擁護委員

人権擁護委員とは、法務大臣の委嘱を受けて人権を尊重することの大切さを伝える啓発活動や、地域のみなさんから人権相談を受け、解決のお手伝いなどをおこなう民間ボランティアです。学校の先生や弁護士、元公務員、会社員など、さまざまな分野の人たちが委員になっており、その数は全国で約1万4,000人にものぼります。

榊さんが人権擁護委員になったのは、住んでいる自治体からの打診がきっかけでした。それまでは、専業主婦として子ども3人を育てながら、子どもたちの学校でPTA活動をしていましたが、「地域の子どもたちと関わっていたこともあり、みんながお互いに耳を傾け、人権を尊重し合い、支え合って暮らせるような地域にしたいと思い、人権擁護委員になりました」と語ります。

◆“いじめ”の認知件数が過去最多を更新

文部科学省が2022年に発表した調査結果によると、2021年度の小・中・高などの学校及び特別支援学校における“いじめ”の認知件数は、約61万5,000件と過去最多を更新しました。

最近のいじめの特徴について、高橋さんは「SNS上などでおこなわれるため、見つかりにくい」「ささいなきっかけで始まり、エスカレートしやすい」「面白がってはやしたてる観衆と、見て見ぬふりをする傍観者が存在する」などを挙げます。

また、昔のいじめは“性格がおとなしい”“行動が遅い”“弱そうな子ども”が標的にされる傾向があったのに対して、「最近は、優等生や活発で目立つ子なども対象になってきている」と言います。

さらには、仲間外れや無視、悪口といった暴力を伴わないいじめの場合、小学4年生から中学3年生までの6年間で、ほとんどの子どもがいじめにあった経験を持つのと同時に、いじめをした経験も持っているという調査結果も。

榊さんが実際に相談を受けた事例では、「仲の良い友達グループから、仲間はずれにされるようになった」「引っ越しで転校し、最初は親切にしてくれたが、少し経ったらクラスのみんなから無視されるようになった」など、仲間はずれや無視などの相談が多い一方で、「スマホやタブレットで写真を撮られ、笑いものにされる」など、悪ふざけからエスカレートする陰湿ないじめも増えていると言います。

こうしたいじめの相談に対して、榊さんは「身近な大人や家族、または担任の先生や話しやすい先生に相談してみよう。きっと味方になってくれるよ」「クラスメイトの良い面を見つけて、勇気をもって声をかけて友達になろう」などと伝えているそうです。

いじめの背景にはさまざまなことが考えられるなか、「基本的には欲求不満の解消を求める心理があると言われている」と高橋さん。「存在感や自尊感情の満たされない子どもが他人を攻撃することによって、他では満たされない欲求を満たし、一時的な満足感を得るそうです」と言及します。

また、「他人の弱い点を見つけたとき、それを思いやるのではなく、いじめの口実にしてしまうのは、いじめが人権侵害(人間らしく生きる権利を損なうもの)であることに気づいていないからだと言えます。子どもも大人も“いじめは人権侵害である”ということを認識して、お互いを思いやり、尊重する人権意識を養うことが重要です」と訴えます。

◆いじめをする側・される側に表れる“サイン”

小・中学生を中心に人権問題について考えてもらうべく、人権擁護委員が中心となって人権教室を実施しています。

榊さんは、人権教室での思い出深いエピソードとして、「(子どもたちに)命の大切さを伝えるときに、生まれたばかりの初孫のことを思い浮かべながら、『親たちが赤ちゃんを大切に育てて、(子どもは)成長していく』ということをお話したんです。子どもたちは、一生懸命に話を聞いてくれて、最後には拍手をもらいました。また、授業の感想に『僕も人権擁護委員になりたいです』と書かれているのを見たときは、とてもうれしく感じました」と振り返ります。

また、高橋さんによると、いじめを受けている子どもは、無口になったり、学校に行きたがらなくなったり、いじめをしている子どもにも“言葉遣いが荒くなる”などのサインが表れることがあると言います。

そうしたサインを見逃さないように、大人は子どもの様子に目を行き届かせることが大切で、「子どもを信じ、ときには褒める。また、何か問題が起きたときは、子どもと同じ立場になって一緒に考えて“いつも味方として応援しているよ”と伝えることが大切です」と榊さん。改めて、「いじめは人権侵害です。子どもたちにいじめをさせないために、まずは大人がいじめを知り、大人たちができることを考えてみてほしい」と力を込めていました。

なお、法務省では、いじめのことを誰にも相談できずに悩んでいる子どもたちのための窓口として、全国共通・通話料無料の専用相談電話「子どもの人権110番(0120-007-110)」を設けており、子どもはもちろん、親からの相談も受け付けています。

今回の話に、足立は「ほとんどの子どもが、いじめの被害経験と加害経験の両方があることにとても驚いた」とコメント。子どもたちがいつどちら側になってもおかしくない環境下にあることにも触れ、「今は、そういう状況にあるということをちゃんと知っておくことが大切だと感じました」と言います。

青木は、“いじめを受けている子どもにも、いじめをする子どもにも何らかのサインが表れる”という高橋さんの指摘に着目し、「周りの大人ができることとして、(そうした)サインを見逃さないように目を向けていきたい」と話していました。


(左から)青木源太、足立梨花



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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

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