3月6日(土)の放送では、講談社の河北壮平さんをゲストに招き、
最近人気の小説作品の傾向について聞きました。
(左から 河北壮平/奥友沙絢/羽多野渉/古賀葵)
◆人気の「なろう系」を編集のプロが解説
TOKYO FMと81プロデュースが共催するシナリオコンテスト
「オーディオドラマ・アワード」。プロアマ、年齢、職業などの参加制限はなく、募集小説のテーマも自由。受賞作はTOKYO FMが脚本化をおこない、ラジオドラマとしての放送や「AuDee」などの音声サービスで配信されます。
今回はその審査員の1人でもある、講談社の河北壮平さんがゲスト出演。河北さんは京極夏彦さんや、森博嗣さん、西尾維新さんなどを発掘した「メフィスト賞」という新人賞を担当し、数々の作品を審査してきました。そんな河北さんに、ジャンル別に人気小説の傾向を伺いました。
◆ファンタジー小説
河北:現在では「小説家になろう」という小説投稿サイトから人気に火がつき、「なろう系」と呼ばれる異世界転生物のファンタジー小説が人気になりました。
羽多野:我々が子どもの頃に読んでいたものとは違う、新たなファンタジーがいわゆる「なろう系」なのでしょうか?
河北:僕らが子どもの頃のファンタジーは「ハイ・ファンタジー」と呼ばれる、現実とは地続きではない物語が中心でした。今人気があるのは「ロー・ファンタジー」とでもいうべき、ゲーム的ファンタジー世界に現代を生きる人間が転生してしまうというものが多いですね。現実を生きる僕たちの価値観を持ってファンタジーの世界に入り込めるので、読者が感情移入しやすいのかもしれません。
◆ミステリー小説
河北:ミステリー小説はキャラクターがすごく重要です。「シャーロック・ホームズ」の時代から、名探偵って魅力的なキャラクターですよね。今は特にアニメ・マンガ的な表現をされる探偵も増えているので、名探偵のキャラクター性が重要視される時代です。
◆SF小説
河北:僕が担当した「タイタン」(野﨑まど著)という作品は、AIが理想的な世界を統治している未来の話です。人間の代わりに労働するAIが「仕事とはなんだろう」と、うつになり、主人公の女性がAIのカウンセリングをする……というお話なのですが、コロナ禍でみなさんも「仕事ってなんだろう」と考えた1年だと思うんです。
「タイタン」はコロナを見越して書かれたものではないですが、コロナ禍は僕らにとって仕事の意味を考える大きなきっかけになりました。SFは今の時代を下敷きにして、これからの時代がどうなるのかを考えていくジャンルなのかなとも思います。
羽多野:今の時代を下敷きにすることで、リアリティが増すんですね。
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「オーディオドラマ・アワード」の応募締め切りは、2021年3月31日(水)24時。詳しくは
公式サイトもチェック!
<番組概要>
番組名:羽多野渉と古賀葵 コエ×コエ
放送日時:土曜27:30〜28:00
配信日時:土曜27:30配信
パーソナリティ:羽多野渉、古賀 葵
番組Webサイト:
https://audee.jp/program/show/50252