ゲスト:森田剛・長久允 (2) - 箭内道彦が感じる「森田剛」という存在について

自分が死んでしまう日「デスデイ」を、生まれたときから皆知っている世界───

昨年末、大晦日をカウントダウンするような形で公開された短編映画『DEATH DAYS』(デスデイズ)。

ここでは、キャストの森田剛さん、監督・脚本の長久允さんをお迎えしたオンエアのもようを掲載します。映画『DEATH DAYS』について、そして森田剛さんが立ち上げた新事務所「MOSS」についてのお話、箭内道彦が感じている森田剛さんの魅力など、全3回でお送りします。



(2022年2月5日オンエア「風とロック」より)


森田 「風とロック、森田剛です。こんばんは。今日は……起きてからパンを食べましてね。特に何もなかったんですよね、これといって。 でもなんか、何もないのもいいなぁと思ったりとか、こういう普通なことが一番幸せだなぁって思ってます。曲を、聴いてください。ハナレグミで『家族の風景』。 」


♪ 家族の風景 / ハナレグミ


箭内 「何パン食べたの?」

森田 「カレーパン、ですね。」

箭内 「なんか、何にもない日って、何にもないとよくないというようなこと思いがちですけど、いいですよね。何にもない日って。」

森田 「いいですよね。」

箭内 「ほんと幸せですよね。森田剛にも何にもない日もあるんだねぇ。」

森田 「何もない人の方が多いですよ(笑)」

箭内 「カレーパン以外には、食べ物はどんな食べ物が好きなの?」

森田 「僕は最近、塩辛ですね。ハマってるのは。」

箭内 「塩辛!いかの塩辛ですか?」

森田 「そうです。」

箭内 「じゃあ、チェイサーというか、アルコールも摂取しながら?」

森田 「僕、お酒飲まないので、ご飯食べるときにうれしいっていう。」

箭内 「あ、ご飯に塩辛。お酒飲まない人って最強ですよ。」

森田 「そうでしょう?(笑)」

箭内 「これで長久監督もお酒飲まないって言われたら、俺もう…お酒の広告担当したりしてるから何とも言えないけど……」

長久 「飲まないです(笑)」

箭内 「うわー!やっぱり飲まないんだよ、みんな!(笑)なんかやばい人っていうか、おもしろい人って飲まないんですよね。もともと飲まないんですか?お二人とも。」

森田 「僕はもともと飲まないです!」

長久 「僕は結婚してから育児が忙しくて、いつのまにか飲めない体になっちゃって。」

箭内 「へー!やっぱりお酒飲まないっていうことは、はっきりしてる時間が(お酒を)飲む人よりかなり長いってことだからね。お酒似合いそうな人たちなんですけどね、こうやって画面で見てると。」

長久 「そうですねー、見た目ちょっと汚いんで、路上で飲んでそうとかすごい言われますけど(笑)」

全員 「(笑)」

箭内 「いいなー、お酒飲めないの、いいなー(笑)」

森田 「毎日飲みますか?」

箭内 「いや、なんとか休肝日をつくらなきゃっていうんで、週1〜2日飲まない日はありますけど…なんか "飲まなくてもいいのにな" って思いながら飲んでる自分がいて。最高にハッピー!みたいな感じじゃないのに飲んでるときがあって。でも、今からやめても森田剛にはなれないんだよねー。」

長久 「いやいや、飲んでもやめてもなれないんでね (笑)」

全員 「(笑)」

箭内 「森田剛に似てる人っていないでしょ?自分で感じたことあります?あのとき会ったあの人が似てた、とか、あそこの動物園で見たオオカミが似てた、とか。」

森田 「あー……でも、あまりそういうことは思ったことないかもしれないですね……!うーん……」

箭内 「………話しますか、今週も(笑)」

森田 「そうですね(笑)」

長久 「楽しかった(笑)」

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箭内 「森田剛さんにきく『MOSS』を立ち上げた経緯と想い。まずこれ(イントネーションは)『モ→ス↓』ですか?それとも『モ↓ス↑』ですか?」

森田 「『モ→ス↓』ですね。」

箭内 「『MOSS』っていうのは、まず名前のことをききたいんですけど、なにかの略なのかな?"森田" …… "す" …… "スーパースター" …」

森田 「いや、全然違うんですけど(笑)」

全員 「(笑)」

森田 「なんとなく、"M" から始まるものがいいなと思っていて。いろいろ調べていくうちに、"MOSS" っていう、見た目と響きがいいなって思って。"苔"って意味なんですけど。」

箭内 「あー!モスグリーンって苔のグリーンだもんね!絵の具の。」

森田 「そういうことも含めて、いいなぁと思って、名前はすぐに決めました。」

箭内 「へー!そっか、宮沢(りえ)さんの "M" でもあるわけですね。森田さんだけじゃなくて。」

森田 「そうですね。」

箭内 「いいですね。…これ嫌な質問って思ったら答えなくていいからね。森田さん、SかMかっていうとどっちなんですか?」

森田 「あー……俺はSかなぁ…!…Sだと思いますけどね。」

箭内 「……いや、それ以上話は続かないんですけど(笑)」

全員 「(笑)」

長久 「お酒飲んでるみたいな会話(笑)」

森田 「Mじゃないなぁ……たぶん(笑)」

箭内 「自分に対するSみたいなのはあるでしょ?」

森田 「ああ、そうですね。」

箭内 「自分を甘やかさない、っていうか、自分に鞭打つみたいなところあるんじゃないかな。」

森田 「全てにおいてじゃないんですよね。本当にすごい狭い範囲でそういうところはあるかもしれないですね。僕A型なんですけど、全然綺麗好きじゃないんですよね。でも一部とか、ここだけは綺麗にしたい、とか、この日絶対に綺麗にしたい!っていうのがあって。極端です!SとMは。」

箭内 「A型って、神経質で綺麗好きで気遣いができて……みたいなことが本に書いてあるけど。あ、僕もA型なんですけど、まずその”血液型の話する男の子は、ポイント低いよ"って昔予備校時代に同級生に言われて。」

全員 「(笑)」

箭内 「それから血液型の話するときちょっと躊躇しながらいつもするんだけど(笑)結局A型の人って、自分がよく思われたいから人に気を遣うだけで…僕なんかはね。全面的に相手を大事にしたいと思って気を遣いつづけるわけでもないんですよね。でもその辺が血液型の本には隠されているというか(笑)案外自分勝手なところあるな、と思って。それを成立させるための、気を回したりとか、神経質になったりなのかななんて、自分のA型に対しては思いますけどね。さあ、ここでオチが待ってますよ。長久允監督は?(笑)」

長久 「血液型?AB型ですね(笑)」

箭内 「出た!AB型か!(笑)」

全員 「(笑)」

長久 「"変わり者" みたいに言われることを頼りに、その道にしたがって生きた、っていう恥ずかしいタイプですね(笑)」

箭内 「(笑) そしたら、長久監督にもきいてみて、って質問が来てて。もともと映画やりたかったんでしょ?」

長久 「僕、専門学校で映画をやってて。同時に大学も出たので、本当は自主映画をつくりたかったんですけど、一応就活をしようかと思ってて。そしたら広告代理店が受かったんです。でも自主映画で賞とかもなにも獲れなかったので、一回諦めたんですけど、やっぱり辛くなっちゃって。10何年もやったら体がぼろぼろになっちゃって。ずーっとコルセットして、松葉杖ついて働いたりしてたんです。」

箭内 「へぇ。」

長久 「で、なんで僕は人のメッセージを伝えるために、自分が思ってもないことを伝えるために、こんなに死ぬ寸前になっているんだろうと思って。一回会社をお休みして映画を撮ったら、本当にすべての体の不調が治って。やっぱりこっちでいこう、と思って、広告の仕事は比較的お断りする……お断りするというか、映画をつくっていこう!と決めました。」

箭内 「そうなんですね。いいね。そんな中…そういう流れ……えっと、ちがう話するときの接続詞って、どういうの使ってる?監督(笑)」

全員 「(笑)」

箭内 「"それはそうと" とかなのかな(笑) いや、森田剛さんが新しいことを始めたわけじゃないですか。その話をききたいんだけど、その話にすっと行くには、なに挟めばいいんですか(笑)」

長久 「なんですかね(笑)」

箭内 「"あっ、そうだ!"みたいなこと?(笑)」

長久 「 そうですね!(笑)本当にききたい雰囲気で変わればいいんじゃないですか?(笑)」

森田 「"そうだそうだ!”とかいいんじゃないですか?」

箭内 「あ、そうだそうだ!」

全員 「(笑)」

箭内 「だめだ、プロの俳優を前にこんなことやってる場合じゃないですね(笑)いままでやってることと変わらず、俳優やってるよ、ってことなのかもしれないけど、環境だったりつくり方だったり、直接電話して依頼するような仕事の生まれ方だったり…森田さんにとって新しいことだらけの日々なんじゃないかなと思うんです。そんな中、カレーパン食べたことしかニュースがないっていうのも素敵だなと思うんだけど、どうですか?新しいこと始めてみて。」

森田 「もちろん新鮮だし楽しいんですけど、環境が変わったからって自分自身は変わらないわけで。出来ることも出来ないことも、自分ではなんとなくわかってるし。でもここからもう少し世界を広げていきたいなぁ、っていう中で長久さんとの出会いがあったり。今までなかなか会えなかった人に会えたりとか、そこに向けてのスピード感だったりっていうのはすごく感じていて。やりがいも感じてますし。ここから自分らしく、自分のペースで…ちょっとずつ形にしていけたらな、と思ってます。」

箭内 「なんかこう、森田剛って、若々しいんだけどおじいちゃんっぽいっていうか。例えばこの人が80歳になったときとかどんな映画つくってるんだろう、ってすごく楽しみじゃないですか、僕ら。なんでこんな感じなの?(笑)」

長久 「気になりますよね!」

箭内 「こういう感じのおじいちゃんいたらいいですよね!60歳も70歳も80歳も、楽しみな想像が膨らむ人だなぁ、ってみてるんだけど。」

森田 「でもちっちゃいときから、おじいちゃん、おばあちゃん子だったんです。さっきの塩辛もおじいちゃんが手作りでイカを捌いて、海苔の佃煮が空いた瓶に塩辛とか入れてて、それをちっちゃいときにいっしょに食べてたりとか。今も、歳上の方と話している方が落ち着いたりとか。なんとなく、おじいちゃんとおばあちゃんの影響っていうのはすごく大きいし、ずっと自分の中にいる存在なので。」

箭内 「ほんと、おじいちゃんっぽいよね。」

長久 「謎ですよね。でも生まれたての5歳児みたいなときもあるから(笑)」

全員 「(笑)」

箭内 「でもわかるわかる!両方ね!あ、あとこれ面白そうでききたいんですけど、ある特定の業界の中で異端でい続けることを意識していますか?」

森田 「どうですか?長久さん。」

長久 「僕?(笑)」

箭内 「そうならざるを得ない状況だろうし、自覚的ではあるんだろうけど。」

長久 「僕、でも異端でありたいなんていう気持ちは結構無くて、いつも"これはみんなに愛される作品だろうな"って思って世に出してるくらいで、結果異端になっちゃってるっていう。でも異端じゃなくなるために嘘はつきたくないので、結果異端だったらしょうがないかな、と思っているんですけど。でも、世界の映画祭とか、世界の市場で評価されることが多くて、そのとき日本の1%の支持でも、世界だとパイが大きいので1%でもビジネスになる感じはあって。そこは無理して嘘ついて捻じ曲げなくてもいいかなって今は思ってますけどね。」

箭内 「世界が救いというとあれですけど、別の大きな評価のされ方が世界にはあるってことですよね。」

長久 「そうですね。そっちがあるから、信じてやっていけるかなって思ってます。」

箭内 「森田剛は、どうなんだろう?異端なようにも見えるし、ど真ん中にも見えるし、5歳児にも見えるし、おじいちゃんにも見える、っていう。」

森田 「僕は全く意識してないですね。」

箭内 「やっぱ、そうだよね。」

森田 「なんか、普通に自分の中でみたものと感じたものを嘘なく発信したい、っていうのはありますし。全然広い世界は見てない、すごくちっちゃい世界で生きてる感じもするから。全く人と違うことをやろうっていうこともないし…全然 "異端" っていう言葉は自分の中にも周りにも、全く無い言葉なので。」

箭内 「いいねぇ。俺なんかやっぱり、もう異端であろうとしなければそこにしか勝ち目がなかったみたいな、隙間を探して探して生きてきたところがあるから。もともとお酒飲まないっすよって言ってる感じと同じような眩しさを感じます。」

全員 「(笑)」

箭内 「でもその眩しがってるやつなんか、「まあまあ、そうですか」っていう感じかもしれないけど、それも含めて、眩しいね。そこらへんはたぶん、いい意味で分かり合えない部分でしょうね。いろんな人がいて面白いなって思うし。異端っていう意味じゃないんだけど、やっぱりすごく珍しい存在だと思うんですよ。森田剛って。これだけいろんなことを狙わずにやっているというか。本当に自然に大きくしよう、小さくしよう、そんなことすら意識してない人って、やっぱり天然記念…ってことじゃないけど、やっぱりみんなで大事にしたりあやかったり、助け合ったりしていかなきゃいけない存在だなって、今日話聞いてて思う、私でございました。」

森田 「いや、うれしいです。こうやって、お話する機会はこれまでもちろんなかったですし、すごく今日楽しみに来て、いろんな言葉をきけて、なんか安心しました。」

箭内 「それはよかったです!これ、今週ももうそろそろですかね。2週目、『前科者』も絶賛上映中ですし、今週は『DEATH DAYS』の話はそんなにしてないけど、YouTubeで観ることができるんでしょ?」

長久 「はい、『DEATH DAYS』と検索していただければ。」

箭内 「来週話しますか。その辺を詳しく。『DEATH DAYS』に戻りますか!」

長久 「お願いしまーす!」

森田 「お願いします。戻りましょう(笑)」

箭内 「いよいよ来週は、この3人がお送りする最終回に…というか、完結編になりますので、どうぞみなさん1週間後にお会いしましょう!風とロック、箭内道彦でした。」