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「高速電波バースト」ともう一つのテーマ「ダークマター」

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「高速電波バースト」ともう一つのテーマ「ダークマター」

「高速電波バースト」ともう一つのテーマ「ダークマター」

ソラジオトーク from OKAYAMA

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04:08
ソラジオトークfrom OKAYAMAへようこそ
井原市美星町出身の天文学者
國立中興大學 橋本です!

今回のテーマは、「高速電波バースト」でしたね。
放送分で解説したように、
電子レンジはマイクロ波と呼ばれる電波に近い周波数を扱う電子機器で、
実はこれが高速電波バーストに非常によく似た波形の信号を出す事がわかっています。

高速電波バーストは空の特定の方向から来ているのに対し、
電子レンジからの信号は望遠鏡が空のどこを向いているかにかかわらず共通して見つかるため、これらを区別する事ができます。
実際に電子レンジを使った実験が行われたそうです。

その結果、
電子レンジをつけて加熱時間が完了する前に開けた場合にのみ、高速電波バーストのような信号が検出される事が確認されました。

もう一つのテーマ「宇宙の不思議:ダークマター」についてお話します。

「ダークマター」とは、日本語で言うと暗黒物質

この暗黒物質は、天文学的現象を説明するために考え出された仮説上の物質。

”質量を持つ”、"物質とはほとんど相互作用せず、光学的に直接観測できない”、"銀河系内にあまねく存在する"
といった性質が想定される。

観測事実から間接的にその存在が確実とされるが、いまだ正体 不明の物質で、
宇宙の星や銀河を作った立役者だと考えられています。

この発見がなぜ重要なのか?
ダークマターがなければ銀河がほとんど形成されず、私たち人類も生まれなかったかもしれません。
われわれの身の回りにもダークマターは1リットル当たり約1個ほど存在すると考えられています。
しかし、いまだ実験的に直接捕えられていません。

ダークマターの間接的証拠はいつ発見されたか?
1930年代に、はるか遠くの銀河団を観測した天文学者がいて、
その銀河が「激しいスピードでビュンビュン動いている」ということを発見しました。
この激しいスピードは、望遠鏡では見えない重力源、つまりダークマターによるものだと考えられています。

ダークマターの有力候補は?
ダークマターの正体についてはいろいろな可能性が考えられていますが、その一つが素粒子と呼ばれる、極めて小さな粒子です。 
素粒子には知られていないものが複数あり、そうした未知の素粒子の一つである
「ニュートラリーノ」がダークマターの有力な候補になっています。

ダークマターの候補として最近注目を集めているもう一つの候補に
「原始ブラックホール」があります。
これは宇宙がビッグバンから始まった時に形成されたと考えられている、とても軽いブラックホールです。
原始ブラックホールの存在はまだ観測的に証明されていませんが、
今回のテーマの一つ、「高速電波バースト」をつかって発見する事ができるかもしれないと期待されています。

ダークマターの直接観測は、現在の宇宙物理学の最も大きな課題の一つです。
直接観測に成功すれば、その正体を解明する手がかりが得られます。
そして、ダークマターの正体が分かれば、宇宙創成メカニズムの理解が大きく進展すると考えられます。

以上解説は、
井原市美星町出身の天文学者
國立中興大學 橋本さんでした。