ソラジオトーク from OKAYAMA へようこそ
青いザリガニにオオサンショウウオ、スッポン、ナマズ、ヤリタナゴ…
生物にまみれた生活をしています。
人と科学の未来館 サイピア 岡です。
今回のテーマは、「月火水木金土日 日本の曜日」でしたね。
放送分で解説したように、
1週間7日制はメソポタミアの古代帝国である古代バビロニアの時代(紀元前1900年頃~紀元前1595年)
であると考えれています。
古代バビロニアでは、太陰暦である月の満ち欠けの周期を新月から29日、あるいは30日まで数え
7日ごと(7日目、14日目、21日目、28日目)を安息日としていました。
これが1週間の起源といわれています。
古代ローマでは、1日を24等分して1時間毎に5つの惑星と太陽と月とを
繰り返しあてはめて呼び、
この時代の天動説としては、地球から距離の遠い惑星順に
土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月の順番と決めました。
そして、1日の最初の1時間が1日全部を支配すると考えました。
順番にあてはめて、24時間を5つの惑星に加えて月と太陽で支配していくので
各時間を担当する星は、3つずつ、ずれているのがわかります。
なので、ある1時間を土星が、その次の1時間を木星が、という順番です。
これを7日間にわたってあてはめたとき、日の最初の1時間を司る惑星をその曜日の名前
としたのではないか、というのです。
日本は、中国文化の影響を大いに受けながらも、自国の文化と組み合わせて
独自の発展を遂げてきました。
その結果、明治時代に西洋のグレゴリオ暦を採用する際、
曜日名として七曜を取り入れることになったのです。
曜日と関係の深い惑星ですが、その名前はギリシャ神話の神々の名前がつけられています。
まず、太陽に一番近い惑星、「水星」
水星は、商業・旅人の神であるヘルメスがあてられました。
神様の言葉を伝える伝令係と考えられ、神話の主人公になることはありませんが、
あちこちに顔を出す、すばしっこいお調子者とされています。
死者の魂を冥界に連れて行く役割と、逆に冥界から死者の魂を地上に戻す役割も担っていました。
三途の川という言葉もありますが、流れる水のイメージと伝令の神ヘルメスのイメージ
ぴったりじゃありませんか?
水星と同じく地球と太陽の間を周る内惑星の金星は、
明けの明星・宵の明星と呼ばれ、ひときわ明るいその輝きには思わず目を奪われます。
神々でも心を奪われてしまわずにはいられないほどの美しさを誇っていたといわれる
愛と美の女神アフロディーテが金星担当です。
女神の中で最も美しいとされるその美貌を象徴するように、
現代でも多くの名画が残されています。
しかし、そんなアフロディーテの夫が、最も醜いとされていた火と鍛冶の神 ヘパイストス
であるというのがギリシャ神話のまた面白いところです。
そして、我らが地球は、大地の女神ガイアです。
母なる大地という言葉もありますが、その通りで、ガイアはひとりで天と海も産みました。
ちなみに地球の衛星である月は、狩猟の女神で弓矢の名手アルテミスとされています。
今進められている月面着陸計画、アルテミス計画はこの女神さまの名前からつけられているんです。
地球のお隣さんの惑星、火星は、赤く輝く星にふさわしく
血をみるのが大好きな戦いの神、アレスとされています。
神々の王ゼウスの息子でありながら、この性格のために他の神々だけでなく
ゼウスからも嫌われていたほどです。
神の中では、1・2を争うほどのイケメンで、金星のアフロディーテと愛人関係にあり
2人の息子ポボスとデイモスがいます。
火星の2つの衛星、Phobos(フォボス)、Deimos(デイモス)には
この2人の息子から名づけられていますが、
フォボスは”敗走”、デイモスは”恐怖”の意味で、やはり戦いにちなんだ名前になっています。
続いて木星は、ギリシャ神話の最高神で全知全能の神、ゼウス。
神々の頂点に君臨し、古代ギリシャでは運命も超越する神としてあがめられました。
一振りで宇宙を焼き尽くすと言われているほど強力な最強の武器”ケラノス(雷霆・らいてい)”を持っています。
怒りの鉄拳は雷なんですね。
もう手がつけられないほどの女好きで、ガリレオ衛星と呼ばれる木星の衛星には
ゼウスが寵愛した神話上の人物
①イオ ②エウロパ ③ガニメデ ④カリスト の名がつけられています。
ゼウスの父にして農耕を司る神クロノスが土星です。
天界を支配するゼウス、海を支配するポセイドン、冥界を支配するハデスの父であるクロノスは
ガイアから天として生まれた父のウラノスを倒し、実権を握りました。
ところが、
自分もまた我が子に倒されることを恐れ、産まれた子どもを次々飲み込んでしまいました。
そんなクロノスの目をあざむいて生き延びた子のゼウスが率いるオリュンポスの神々との
長きにわたる戦いの結果、冥府タルタロスに幽閉されます。
土星の衛星「Titan(タイタン)」はクロノスが巨神族(ティーターン)であったことから
名づけられました。
時間を司る神であるクロノス(Khronos)とカタカナ表記が同じために混同されることが多いですが
土星と関係のあるギリシャ神話のクロノスとは違う神です。
時を司る神クロノスのほうは、サイピアのプラネタリウム投影機クロノス2の名前の由来となった神様です。
土星を過ぎれば、氷でできた惑星になります。
天王星は全宇宙を最初に統治した天空神ウラノスです。
クロノスの父、ゼウスのおじいちゃんですね。
すいきんちかもくどってんかい(水金地火木土天海)
最後の惑星は海王星です。海の名がつく海王星は、海の神ポセイドンです。
海の神としての印象が強いポセイドンは地震の神でもあり
三又の鉾を使ったその力は海や水だけでなく世界のすべての物質に及ぶほど強大でした。
地震の凄まじさは、冥界の王ハデスが
「地球が裂けて冥界への道が開けてしまったのではないか」と
危惧するほどだったと言われています。
はたしてポセイドンは怖い神、なんでしょうか?
美しい髪をもつ娘が、海の神ポセイドンと恋に落ちました。
ところが、
戦いの女神アテナの神殿で密会していたのがバレて怒りをかい
自慢の美しい髪の毛は、みんな猛毒の蛇にされてしまい
顔までも恐ろしい顔に変えられ、その顔を見たものは、恐ろしさのあまり
血が凍って、石になりました。
この悲劇の娘の名前をメデューサといいます。
メデューサの姉たちは、
「私たちはメデューサを愛しているからあなたの目をみても石にならない。ポセイドンだってメデューサのことを愛しているのだから石にはならないわ。だから会いにいきなさい。」
と言いましたが、変わり果ててしまったメデューサが、ポセイドンに会いにいくことはありませんでした…。
秋の星座の一つ、ペガスス座はメデューサの血から生まれでてきた神話が知られていますが、
ポセイドンの子といわれています。
美しかった髪の毛が蛇に変わり、恐ろしい姿になってしまったメデューサ。
誰もそばに近寄らなくなりましたが、ポセイドンだけは違ったようです。
さて、最後に惑星たちの中心、太陽ですが、
ギリシャ神話における太陽神には、アポロン、ヒュペリオン、ヘリオスがいます。
まず、アポロンはギリシャ神話の中でもいろいろな話が残っていて
モテるわりに恋が成就しないこともしばしば…。
ヘリオスと混同されることが多かったために太陽神に含まれることがあっただけで
本来は、音楽(竪琴)、予言、芸術、弓矢の神であるという見方もされています。
次のヒュペリオンは、天空神ウラノスと大地の女神ガイアの息子として生まれた神です。
アポロンとは違い純然たる太陽神という見方がされている一方で
母であるガイアが神以外の魔物や怪物たちも何体か生んでいることから
「ヒュペリオンは太陽神として相応しくないのでは?」という声もあります。
そして最後のヘリオスですが、大地を照らし、恵をもたらす太陽にふさわしく
人々に愛される神とされています。
ヘリオスという名前には「太陽」や「日」という意味が込められているため
ヘリオスこそが太陽の化身だと言っても過言ではないほどです。
ギリシャ神話は神の話でありながらも
怒ったり・泣いたり・恋したり・失敗したり、人間と同じようなことをしています。
その親しみやすさが、何千年という時を越えて、今も語り継がれている由縁かもしれません。
以上解説は、60匹の子育てに奮闘中の、サンショウウオ60匹の子育てに大奮闘中の
人と科学の未来館 サイピア 岡でした。