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ソラジオトークfrom OKAYAMAへようこそ
日本スペースガード協会 二村さんです!
今回のテーマは、「恐竜の絶滅」についてでした。
恐竜の絶滅のように、ある期間に大量の生物が絶滅する現象は、
地球の歴史の中で何度も起こっています。
他の絶滅も放送分でお話した星雲遭遇で説明できるかもしれません。
また、遠く昔、
24億から22億年前と7億7千万から5億5千万年前には
地球が赤道までガチガチに凍ってしまうスノーボールアースという出来事がありました。
近年の研究によると、この時期は、私たちの住む銀河系内の星形成がさかんで、
たくさんの星雲が銀河系内に分布しており、太陽系がそれらの星雲にたくさん遭遇したことによる寒冷化がスノーボールアースの原因と考えられています。
そして、最後のスノーボールアース終了から4億8800万年前までは、
先ほどのさかんな星形成の状態から、現在の銀河系になるまでの期間で、
このときも高頻度の星雲遭遇があり、何度か大量絶滅を繰り返します。
大量絶滅はその後の進化を加速されることが知られており、
この時期の大量絶滅が、後のカンブリア大爆発とよばれる生物種の爆発的な進化につながります。
つまり宇宙で起きたことが地球の生物の進化に影響を与えていることになります。
とここまで、
星雲遭遇についてお話してきましたが、とは言え、
隕石衝突も大変な自然災害であることは間違いありません。
2013年にロシアのチェラビンスクの隕石落下を記憶している人もいらっしゃるかもしれません。
この隕石落下で多くの負傷者がでました。
隕石は、地球に落ちてくる石ですが、そのもとは宇宙にある小惑星です。
私が所属している日本スペースガード協会も
岡山県井原市美星町でこのような小惑星の監視をしています。
望遠鏡を使って、何度か時間をあけて小惑星を観測すると、
小惑星の通り道がわかります。
これは、現在だけではなく、過去も、そして未来もわかります。
よって、将来的に地球に衝突するのかどうかということもわかります。
よくある質問で、
実際に地球に衝突するかもしれないとわかったらどうするのか?
と聞かれることがあります。
先ほどの小惑星の監視や、衝突回避の手段など、
天体の衝突から人類を守る活動をプラネタリーディフェンスといいます。
小惑星の通り道さえわかれば、かなり前から地球に衝突するかどうかがわかります。
そのだいぶ前から、小惑星を少し押して、通り道をずらしてあげるだけで、
どんどん最初通るはずだった道からはずれて、地球への衝突を回避することができます。
サッカーやバスケットボールでゴールに入りそうなシュートに対して、
シュートが放たれたタイミングでちょっと指先をあててゴールからはずしてやるような感じです。
では実際に、
どうやって小惑星をちょっとだけ押すのか?
ということですが、いろいろな方法があります。
その一つに小惑星に何かをぶつけて、ずらすという方法があります。
2021年にはNASAが実証実験を行っており、小惑星ディディモスの周りをまわっている衛星ディモルフォスに探査機をぶつけて、その動きの変化を確認しました。
また、先ほどから、隕石の脅威についてお話をしましたが、
一方で隕石は、
私たちの太陽系の歴史を語る重要なサンプルでもあります。
私たちは隕石の分析や望遠鏡による小惑星の観測などで、太陽系を理解してきました。
望遠鏡で宇宙を見れば太陽系のどこに小惑星があるかがわかります。
ただ、どのような物でできているかについては、隕石の分析ほどは詳しくはわかりません。
一方、隕石の分析は、どのような物でできているかについては良くわかりますが、
それが太陽系のどこにあったのかが、わかっていないものがほとんどです。
探査機によるサンプルリターンは、その両者の良い点を持ち合わせていますが、今のところ、行くことができる小惑星には限りがありそうです。
それぞれの良い点を生かしながら我々の住む太陽系の歴史の解明も進めばと思います。
以上解説は、日本スペースガード協会 二村さんでした。