GDPが“3兆6,000億円”のプラスに!? 河野太郎デジタル大臣が取り組んだ「“アナログ規制”の一掃」を解説

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。9月9日(土)の放送は、前回に引き続き、河野太郎(こうの・たろう)デジタル大臣をゲストに迎え、お届けしました。


(左から)河野太郎デジタル大臣、笹川友里



河野大臣は、米ジョージタウン大学卒業後、富士ゼロックス、日本端子に勤務。1996年に衆議院議員総選挙で初当選し、2015年から行政改革担当相などとして入閣。外務大臣、防衛大臣、国務大臣などを経て、2022年からデジタル大臣に就任しました。

◆創設から2年…デジタル庁の現状は?

2021年9月の発足から2年が経過したデジタル庁。現在、約1,000人規模の体制で組織されており、携わる人材は発足当初よりも増えてはきているものの、河野大臣が今年6月にシンガポール共和国を訪問し、ジョセフィン・テオ情報通信大臣兼第二内務大臣、ジャニル・プットゥチェリー GovTech担当大臣と会談した際、人口約550万人の同国が日本で言うところのデジタル庁では約3,800人もの人材を擁していると聞き、デジタル庁の人手不足を痛感したそう。

約1,000人の人材の内訳については、「採用2年目なので新卒は少なくて、霞が関のほかの役所から来ていただいている。全国の都道府県、市町村から来てもらっている人も多くいて、自治体とのコミュニケーションはとりやすい」と河野大臣。

また、それらの人材に加えて、例えば、IT企業の経営者や弁護士などを本職にしている方が、週に2日ほど同庁の業務を手伝うようなケースもあると言い、「1,000人と言っても、フルタイム換算すると800人ぐらいになるかもしれない」と現状を明かします。

◆「アナログ規制の一掃」に尽力

デジタル庁というと、マイナンバーカードの利活用推進などのイメージがありますが、そのほかに取り組んでいることの1つが、デジタル化の妨げとなっている“アナログ規制”の一掃です。

「例えば、安全管理を確認するときに、さまざまなセンサーによって穴が開いている箇所や金属疲労の箇所が特定できるのに、法律では“最終的に打音で確認しなければならない”とされていたりする。そうした“アナログで確認する”と記されているような法律・政省令を、1868年(明治元年)までさかのぼって洗い出したら約1万件もあった。それを一斉にやめることにした」と河野大臣。

アナログ規制の見直しによる経済効果については、日本のGDP(国内総生産)が3兆6,000億円のプラスになるとの推計が出ており「(デジタル化することで)いろいろな手間がかからなくなるので、そのため時間や人手がいらなくなり、無駄なコストの削減になります」と声を大にします。

また、笹川が「新しく創設されたからこそ“意味のあることをやろう”という感じがしますよね」と印象を語ると、河野大臣は「デジタル庁で仕事をしてくれている人はみんな“日本はデジタル化が遅れている”ということを肌で感じていますから、そこは“一気に頑張っていかなければならない”という思いはみんなで共有しています」と力を込めます。

◆デジタル化によって便利な世の中に

最後に、デジタル庁の今後の展望について聞いてみると「(デジタル化によって)世の中の『面倒くさい』をなくしたいと思っています。そのために、まずはマイナンバーカードを取得するといろいろなものが便利になりますから、ぜひ持ち歩いて使っていただきたい」と呼びかけます。

自治体によって、マイナンバーカードを使ったさまざまな取り組みが実施されています。例えば、図書館の貸し出しカードとして利用できたり、選挙の投票入場受付、群馬県前橋市では高齢者や障がい者などの移動困難者に向けて、マイナンバーカードを活用した福祉タクシーの運賃補助による移動支援事業「マイタク」を実施しています。

そして、ゆくゆくはマイナンバーカードと運転免許証の一体化、さらには、スマートフォン(以下、スマホ)にマイナンバーカードの機能が搭載されるようになれば(アンドロイドは既に搭載済み)、カードを持参しなくても、スマホ1つでマイナンバーカードの機能が利用できるようになることを説明し、改めて「マイナンバーカードを使っていろいろなことができるようになることを、ぜひ実感していただきたいと思います」と話していました。

次回9月16日(土)の放送は、三菱地所株式会社 DX推進部協業・変革支援ユニットのユニットリーダー 篠原靖直(しのはら・やすなお)さんをゲストに迎えてお届けします。不動産業界のDX化など貴重な話が聴けるかも!?

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9月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年9月17日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

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