「日本郵政グループ」DX推進のための子会社を設立!株式会社JPデジタル代表取締役CEO飯田恭久「変わってほしいもどかしさ、不便さがあった」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。3月23日(土)の放送は、株式会社JPデジタル 代表取締役CEOの飯田恭久(いいだ・やすひさ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)飯田恭久さん、笹川友里



飯田さんは、ジレット・ジャパン、ウォルト・ディズニー・インターナショナルを経て、ダイソン株式会社の代表取締役社長に就任し、日本におけるダイソンのブランディングを確立。2006年には、楽天グループ株式会社の上級執行役員に就任し、楽天USAの社長として、アメリカ・インターネット業界での事業拡大の基盤作りに従事。2021年より現職に就いているほか、日本郵政株式会社 常務執行役・グループCDO、日本郵便株式会社 常務執行役員DX戦略担当も兼任しています。

◆「JPデジタル」立ち上げを直訴!

JPデジタルは、日本郵政グループ100%の子会社として2021年7月に設立されました。そんなJPデジタルの事業内容について、飯田さんは「グループ内に必ずしもデジタルに強い人材がいるわけではないので、グループ内の社員と外部から専門人材を集めて、DXの領域で、データ分析やAI(人工知能)など、各領域の専門家と社員を交えて、日本郵政グループでおこなっているDX施策の伴走支援をしています」と説明します。

デジタルに長けていた飯田さんが、そもそも日本郵政グループへの入社を決断した理由は、直感的に“この仕事をやりたい!”と思ったからとキッパリ。「郵便局は全国津々浦々にあって、地域住民に非常に身近な存在です。しかし、良くも悪くも昔のままで、変わらない良さと変わってほしいもどかしさ、不便さもあった。日本のユニバーサルサービス(公共的なサービス)の1つである郵便局を、地域住民の皆さまのために少しでもより良くできたら、とてもやりがいのある仕事だなと思ったのです」と語ります。

しかし、入社して1ヵ月で“DX化は難しいかもしれない”と感じた出来事があったそうで、「例えば、パソコンは基本的にパブリックWi-Fiにはつながらず、ある決められたサイトにしかアクセスできない。セキュリティ上、それは必要なことですが、DXを進めるために、いろいろなところのオンラインサービスや情報を取りにいきたいのに、貸与されたパソコンでは、そういったことが制限されていました。しかも、それが両手で持たないと運べないような重量のラップトップパソコン。そんな状態からのスタートで、まるで20年ぐらい前に戻ったような感覚でした」と振り返ります。

そこで飯田さんは、日本郵政株式会社のトップである増田寛也氏(取締役兼代表執行役社長)に「(DX推進のための)子会社をつくらせてください」と直訴して、JPデジタルの設立に至りました。

◆「失敗してもいい」に込めた深意とは?

郵便局は日本全国に約2万4,000局あり、各郵便局で働く人は、飯田さんによると正規・非正規合わせて約40万人。そんな大所帯のDX推進は容易ではないことが想像できますが、JPデジタル立ち上げ当時は「グループ内の社員を集めて、20人ぐらいでスタートしました。“デジタルを活用してDXを推進したい”“会社を変えていきたい”という志のある社員に集まってもらいました」と回顧。

そうして集まった社員を前に、まず飯田さんは「失敗してもいいよ。失敗しないと学べないよ」という言葉を投げかけたそう。

その意図について、「(日本郵政グループには)まだ“お役所文化”のようなものがあって、“失敗してはならない=新しいことをやらなくてもいい”という考えを持っている方が多いのですよ。新しいことをおこなうときは、トライアンドエラーでいろいろなことが分かって前に進めるのに、“約150年もずっとやってきたので(体制を)変える必要がない”という考えがあるのです」と言及。

そんな文化を打破すべく、「(集まってくれた)社員たちに、DXはデジタル化を推進するのではなく『デジタルを活用して(会社に)変革を起こす』ということ、そのために『変革には常に失敗がつきもの』ということ、そして『(失敗を)怖がらなくていいから、新しいことにチャレンジしようよ!』と。そういうところからスタートしました」と振り返ります。

ある意味、日本郵政グループの従来の社風とは真逆の方針に舵を切ることができたのは「現経営陣の絶大なるサポートと理解があったからこそだと思っています」と感謝を述べます。

そして現在は約100人規模にまで成長し、今では専門領域の知識を持った外部人材も増えてきているとのこと。その比率はグループ内の人材が約7割、外部人材が約3割だそうですが、今後も人材確保を進めて「2年以内にその比率は逆転すると思います」と言います。

最後に笹川から「今どんな人材が求められているのでしょうか?」と質問を投げかけると、飯田さんは「この国のインフラである郵便局を“より良くしたい”という思いに共感くれる人に集まっていただきたい。ものすごくやりがいがあると思うので、同じ専門領域、データ分析の仕事をするのであれば、そういう志に共感して、大義を感じてくれる方に来ていただきたい」と力を込めていました。

次回3月30日(土)の放送も、飯田さんをゲストに迎えてお届けします。JPデジタルが目指す“未来のビジョン”についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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3月23日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年3月31日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

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