今後“現実とバーチャル”を行き来する時代に!? 進化し続ける「XRの世界」を専門家が解説!

音楽プロデューサー・松任谷正隆がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「トランスコスモス presents 松任谷正隆の…ちょっと変なこと聞いてもいいですか?」(毎週金曜17:30~17:55)。さまざまな分野のゲストを迎えて、新たな魅力に迫っていきます。

今回の放送では、デジタル界の案内人「Mogura VR」編集長の久保田瞬(くぼた・しゅん)さんをゲストにお迎えして、進化し続ける“XRの世界”について伺いました。

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(左から)「Mogura VR」編集長・久保田瞬さん、パーソナリティの松任谷正隆



◆「VR」「AR」とは?

――松任谷さんは、まずVR、AR、MR、XRの違いについて、久保田さんに質問します。

松任谷:1個ずつ教えてもらえますか?

久保田:はい。まず、すべてに共通している“R”はReality(現実) の略です。

松任谷:じゃあVRはVirtual Realityってことですね。

久保田:そうですね。人間は、生きている限り現実を認識して生きているんですね。それで、おおざっぱに言うと、その“現実の認識”を変えてしまうのが「〇R」という分野になります。



VRは、認識する世界そのものを変えてしまう、現実とはまったく違う世界にいると思わせてしまう技術で、(4つのなかでは)一番分かりやすいと思います。

AR(Augmented Reality)は、VRと比べると少し分かりにくいです。日本語では“拡張現実”と言われていますが、これは何かというと、我々が生きている現実の世界を拡張することです。例えば今、私は松任谷さんの前に座って話をしていますが、(ARの世界では)机の上に置いてある台本が目の前に表示されます。つまり、目線を下げずに(相手を)話ができるわけです。これは、現実で起きていることを拡張させている1つの例です。

松任谷:じゃあ、車のヘッドアップディスプレイはARってこと?

久保田:まさにあれはARですね。

松任谷:あれもだんだん進化していて、リアルな景色を映し出すようになってきていますよね。

久保田:そうですね。あと、路面に矢印が出て「こっちに行って」と表示されたり、現実に沿ったものがたくさん出てきていると思います。

◆「MR」は「VR」「AR」の上位概念

松任谷:ARとVRはなんとなくわかってきました。MRとXRも教えてください。

久保田:MR(Mixed Reality)はシンプルで“混ぜる”ということなんです。

松任谷:VRやARをミックスするということ?

久保田:それにも近いのですが……VRでもARでも言葉に出した“現実”というのは何かというと、“物理的な現実”つまり“実際に存在しているもの(フィジカル・リアリティ)”なんです。

もう1つが“バーチャル・リアリティ”で、フィジカルな現実とバーチャルな現実が混ざっている世界、ARやVRを包括しているものがMRになります。上位概念みたいなものですね。

VRはほぼすべてバーチャル(現実とは違う)別の世界で、ARは現実が80~90%のなかに10~20%だけバーチャルがある感じです。これは単純に度合いの話で、実際の世界が50%でバーチャルが50%みたいなことも、やろうと思えばできます。

松任谷:わかりやすい(既存の)例みたいなものはありますか?

久保田:アップルが出そうとしている「Apple Vision Pro」というデバイスが、非常にそれに近くて、大きく分けると2種類の使い方ができるようになっています。

1つは、(日常生活の現実の)世界が広がっている場面に(PCやスマホの)ウィンドウ画面などを見ることができる、まさにAR的な現実に、プラスアルファでバーチャルを足しているような使い方です。

面白いのは、ツマミがついていて、それを回していくと現実の世界からバーチャルの世界に段階的に変わっていき、ツマミを回しきると完全にVRの世界になります。

松任谷:例えば、電車に乗っていて、(現実の世界で実際に)前に座っている人たちが、ツマミを回していくとアニメキャラに変わっちゃう、みたいなことですか?

久保田:そういうこともできます。“アニメに変わる”という状態だと、相手が見えているので現実がまだ見えていますよね。(VRだと)目の前の人たちもいなくなって、電車のなかだけど、トロピカルな場所で風の音を聴きながら、フィーリングミュージックをのんびりと聴くこともできます。

松任谷:最後に、XR(クロスリアリティ)は?

久保田:XRが一番簡単です。これは諸説あるんですけど、一番説明しやすい言い方だと、数学の「X」。つまり、何かを入れることができる「X」なんです。実はVR、AR、MRのほかにも「〇R(〇〇リアリティ)」というものはいくつかあるのですが、ただ並べるのが面倒くさいので、ひとくくりにまとめた言葉がXRです。

◆現実とバーチャルを行き来する時代に!?

久保田:僕が面白いと思うのは、現実とバーチャルみたいな話をすると、どうしても“その人たちは現実を捨てているんですよね?”“現実が嫌だからやっているんですよね?”というアンチが出てくるんです。

だから、現実を楽しむ人たちは楽しんで、VRはそうじゃない人たちの集まり、みたいな二分論が出てくるんですけど、実際にそうなっていくのかは正直分からないです。SFでの描かれ方としてはそうでしたが、現実はもっと複雑になっていると思っていて、例えば、メタバースで結婚式を挙げている人たちが、現実でも結婚式を挙げて結婚したりするんです。

松任谷:へぇ!

久保田:だから、決してバーチャルな世界の出来事だけにならない、そういう動きも出てきています。現実とバーチャルを行ったり来たりする世界観が、究極的な意味でのXRの世界なんじゃないかなと思っています。

松任谷:これ、すごく理解できる。これからフィジカルとメンタルが分かれていって、メンタルの部分がすごく成長してきて、メンタルのなかの倫理みたいなものもどんどん変わっていくときに“メンタルが若ければ、どのくらい楽しいんだろう”っていつも考えたりしています。

だってメンタルが若ければ、おじいちゃん、おばあちゃんだって、アバターを作れば(年齢を隠して)恋愛ができるし。さっきの結婚式の話みたいに、メタバースと現実の二重生活もできる。

久保田:もう二重じゃなくて多重ですよ(笑)。メタバースのほうは、もっといろいろなパターンができますから。

◆“XRの進化”で学校の授業も変わる!?

松任谷:誕生当初は、ゲームと相性がいいとされたVRをはじめとしたXR技術ですが、この先、どんな可能性があるのでしょうか?

久保田:例えば、音楽でいうと、今までは楽曲の世界観をMV(ミュージック・ビデオ)として映像でも届けていたと思いますが、(XRの技術によって)視覚や触覚など全感覚で伝えることができるようになった瞬間に、五感で感じる“体験”という名前のコンテンツになっていく。もちろん、今それを作ろうとしたら値段がかかりますが、CGの制作はどんどん(費用が)下がってきていますから。

松任谷:(実現するのも)時間の問題ですよね。

久保田:“現実をそのままコピーする”みたいなこともiPhoneだけでできるようになっていたりするので、まさに時間の問題かなと思います。

松任谷:(XRが普及した世界で)一番変わるのは学校(の授業)? 例えば、歴史の授業をやっているときに、いきなりその時代の世界に潜り込んだりすることができたりして、もう学校に足を運ぶ必要がないみたいな。

久保田:実際に、そのような実験を始めている学校もあったりします。学校に行かなくても良くなるけれども、みんながヘッドセットをつけてメタバース内で授業を受けていると、恐らくオフ会をしたくなるんですよ(笑)。

松任谷:そうだね(笑)。でも、そこがいいんじゃない?

久保田:まさにそうなんですよ(笑)。



松任谷:今まで未来の話をしてきましたけど、“過去”も関与できるんじゃない?過去に自分が歩んできた記憶があるじゃないですか? それを(簡単に)線で思い出せるようにならないかなって。

久保田:そこは……ちょっと違う技術になるんですよね。ただ“人の記憶を取り出していく”“脳に働きかけていく”みたいな話は、まさにXRの本質的で技術的な部分なんですね。

「VR」というものを装置で大がかりに作ろうとしたのが1960年代、今から60年前です。その頃と比べると雲泥の差で技術が進歩していますし、今すでにその研究をしている人たちがいますので、いずれ脳の分野にまで到達している可能性はあります。

松任谷:素晴らしいなと思うのは、人生が楽しくなるような方向に、この研究が進んでいるところですよね。刺激的であり、自分の頭のなかを自由にどんどん広げられるというか。

久保田:もちろん、否定的な考え方もあると思いますが、ポジティブな見方というのは絶対にあると思います。

<番組概要>
番組名:トランスコスモス presents 松任谷正隆の…ちょっと変なこと聞いてもいいですか?
放送日時:毎週金曜17:30~17:55

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