あぐりずむ

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「ワインと比べると圧倒的に価値が低い…」サザコーヒー鈴木太郎社長が見据える“野望”とは?

川瀬良子がパーソナリティをつとめ、日本の農業を応援するTOKYO FMのラジオ番組「あぐりずむ」。毎週火曜は、農業はもちろん、時代の先を捉えるさまざまな研究をおこなっている東京農業大学の話題を紹介します。7月18日(火)、7月25日(火)の放送では、この春、同大学の世田谷キャンパスに新規出店したコーヒーチェーン「サザコーヒー(SAZA COFFEE)」代表取締役 社長の鈴木太郎(すずき・たろう)さんをゲストに迎えてお届けしました。


(左から)鈴木太郎さん、川瀬良子



◆東京農大キャンパス内に出店した経緯

鈴木さんが代表取締役社長をつとめる茨城県発祥のコーヒーショップ「サザコーヒー」。5月には、自身の母校である東京農業大学に出店し、「(農大周辺の)世田谷マダム、附属の小学校や中学校のお母さま方が利用してくださって、本当にありがたいです」と語ります。

また、経営者としてサザコーヒーを率いる一方、現在も筑波大学大学院でコーヒーの研究にも取り組む鈴木さん。それまでの経緯について伺うと、東京農大を卒業後、筑波大学の学長と仲良くなったことで、筑波大学内にコーヒーショップを出店したことがきっかけとのこと。

その後、同大学の農業工学の先生が、かつて東京農大の北海道オホーツクキャンパスで教鞭をとっていたことで知り合いになり、その先生の教え子にコーヒーの焙煎機を貸し出すなど交流を続けているうちに「うちの研究室に来ませんか?」と打診があったことで、コーヒーの研究にも携わるように。それ以降、現在もコーヒーの品種選抜のため、日本と南米・コロンビアを年に何往復もしたり、コーヒー品評会の審査員を務めるなど、活動は多岐に渡ります。

◆コーヒーの研究が進むことによるメリットは?

鈴木さんいわく、コーヒー豆を農作物という観点から見ると「コーヒーって(おいしく飲める目安が)大体3年ぐらいなんです。だからといって、月日の経過とともに素材そのものの強さがなくなってきてしまうので、おいしいコーヒーでも、3年目のときに焙煎したら、おいしくも何ともない」と解説。

しかし、鈴木さんの研究によって、その主な原因が“酸化”であることをつきとめ、「酸化するプロセスを調べていくうちに、コーヒー豆をワインみたいにおいしい状態で留めておけることが分かりました。現在、3年までは確実に(味を損なうが悪くなることなく)保存でき、もう少しで5年(保存)もいけそうで、わりとゴールに近づいている感じ」と手応えを語ります。

さらには「コーヒー豆を焙煎する際に、香りの量をコントロールすることが可能になるかもしれない」とも。例えば、鈴木さんの手によって通常の1.5倍の香りが増えたコーヒー豆が、現状だと1年で終わってしまうのを、今後の研究によって5年も長持ちさせることが可能になるそうです。

とはいえ、「コーヒーは、ワインと比べると圧倒的に価値が低い」と鈴木さん。それでも、「僕は日本スペシャルティコーヒー協会に入っていて、いろいろなコーヒー屋さんと一緒に仕事をしているので、(もっと研究が進んで)おいしい状態を長持ちさせ、(品質を)もっと良くしてコーヒーの価値を上げることで、同業者の方たちに“(コーヒー業界に携わって)良かった”と思われたい」と力を込めます。

そして川瀬が「今後、東京農大さんとのコラボなどはありますか?」と伺うと、「そういうお話はいただいています」と鈴木さん。また、今後の展望についても「コーヒーが好きな人をめちゃくちゃ増やしたくて。その人たちと農業好きの人たちが一緒になって(栽培や研究を進めて)くれたらいいなと思います」と語っていました。

<番組概要>
番組名:あぐりずむ
放送日時:毎週月曜~木曜 15:50~16:00
パーソナリティ:川瀬良子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/agrizm/