川瀬良子がパーソナリティをつとめ、日本の農業を応援するTOKYO FMのラジオ番組「あぐりずむ」。毎週火曜は、農業はもちろん、時代の先を捉えるさまざまな研究をおこなっている東京農業大学の農学研究を紹介します。4月9日(火)、4月16日(火)の放送では、フードマネジメント研究室の鈴野弘子(すずの・ひろこ)教授に「災害食」について伺いました。
(左から)川瀬良子、鈴野弘子教授
◆“栄養”も考えた「災害食の備蓄」を
地震や台風・集中豪雨など、自然災害が多い日本。被災したときに私たちの命をつないでくれるものの1つが「災害食」です。缶詰やパックご飯などを備蓄しているという人は多いですが、鈴野教授は備蓄品のなかに“調味料”を入れておくことを推奨します。
「災害食として“お米やお水はこれだけ備えておきましょう”ということは呼びかけられていますが、そのなかに調味料が入っていないんです。例えば、ご飯があったとしても、お味噌や塩がなかったら(味のついた)おにぎりが作れません。なので(災害時には)調味料も必要です」と語ります。
そこで鈴野教授は、被災時にどのような調味料類が必要なのかを調査。東日本大震災のときに避難所で提供された炊き出しや、病院、介護施設、老人ホームなどで提供された食事から1,961もの献立を抽出し、栄養計算をはじめ、どのような材料が何グラム使われたのかなどを、学生たちとともに調べた結果、調味料類のなかでは「味噌、醤油、砂糖、顆粒だし」がよく使われていたことが分かったそう。
さらに、調味料とともに備えておきたいものとして「油」「野菜ジュース」を挙げ、特に野菜ジュースは賞味期限がそれほど長くないため、購入後、賞味期限間際になったら消費して、また新しいものを購入することを繰り返すローリングストックを推奨します。また、被災時はどうしても食べる量が少なくなるため、「私たちは食べ物からも水分を摂っており、災害時は食べ物の量が少なく水分不足になるので、心して水分を摂るということが重要になります」と注意を促します。
そして改めて、「いつ自分が住む地域に(震災が)起きてもおかしくないので、“自分の命は自分で守る”という意識を持って(日頃から)備えることが重要だと思います」と強調します。
◆災害時に実践したい「パッククッキング」
災害時は、ライフラインの1つ「水道」の復旧に時間がかかるケースが見受けられます。そんな状況に直面したときの食事面での対処法として、鈴野教授は農林水産省でも推奨している「パッククッキング(ポリ袋調理)」を挙げます。
例えば、かぼちゃの煮物を作るには、切ったかぼちゃをポリ袋に入れ、そこに調味料や顆粒だし、水などを加えて封をし、湯せんにかけるだけで調理することができます。また同様に、ポリ袋にお米と水を入れれば、湯せんでお米を炊くことも可能です。このように、ポリ袋を活用し、湯せんを使いまわして調理をすることで、少ない水でも調理することができます。
さらには、「(ポリ袋調理だと)密封されているため、旨味が逃げにくいので非常においしいです。また(できた料理は)お皿に盛らずに、そのポリ袋から(直接)食べれば、お皿を汚さずに済みます」鈴野教授。もし被災したときのために、平時からポリ袋調理を試しておくことも大切です。なお、パッククッキングのためのポリ袋を購入する際は、“耐熱性の有無”など、湯せんで使っても良いかどうか表示項目をチェックしておきましょう。
改めて鈴野教授は、食とは“命をつなぐもの”という観点から「管理栄養士は先頭に立って食事を提供する、命を守る立場にあるので、学生さんたちには(被災した際)今回お話したことが実際にできるように教育しています」と話していました。
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2週にわたる鈴野教授とのトークを振り返り、川瀬は「すごく大切なお話がたくさんありましたね! 私は、食べ物の備蓄はもちろんやっているんですけれども、栄養については“全然考えていなかった”と気付かされましたし、味のことも全然考えていませんでした」と非常にためになった様子。
そして“管理栄養士”という職についても、「病院や学校給食で活躍されているのは知っていましたけど、災害時のことまで先頭に立ってご指導なさっているとは知らなかったです。管理栄養士という仕事のイメージが、ガラッと変わるお話でした」と感じ入っていました。
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4月16日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月24日(水) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:あぐりずむ
放送日時:毎週月曜~木曜 15:50~16:00
パーソナリティ:川瀬良子