俳優・石丸幹二がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Grand Seiko THE NATURE OF TIME」（毎週土曜12:00～12:25）。各界で活躍するゲストを迎え、毎週1つのキーワードから“自分を支えている本質”を掘り下げて伺っていきます。2023年8月のマンスリーゲストは俳優の浅利陽介さん。この記事では、“転機となった作品”ついて伺った8月5日（土）放送の模様を紹介します。

（左から）浅利陽介さん、石丸幹二

◆自分を見失っていた時期も…

石丸：（浅利さんは）いろんなドラマに出ていらっしゃいますが、今までの俳優生活を振り返って、転機になった作品はありましたか？

浅利：やっぱり、ドラマ「コード･ブルー －ドクターヘリ緊急救命－」（フジテレビ系）ですかね。

石丸：どのような影響を受けましたか？

浅利：（ドラマ制作は）個人プレーじゃなくてチームプレーだなって。それまでは、個人プレーでやっていたんです。（台本は）自分が出るシーン、自分のセリフだけを読んで覚える、みたいな感じだったんです。

（共演した）山下智久しかり、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未……自分と同年代の人と一緒に作品を作る経験もほとんどなかったんです。作品のテイストも、研修医1年目で“やれ”と言われたことに必死にしがみついていかないと、振り落とされてしまうというドラマの内容と（自分の現状が）リンクして、周りのスタッフ一人ひとりにも危機感というか“成長しないとやっていけない”というものを課していたと思うんですけど、それがすごく……嫌で嫌で（笑）。

石丸：（笑）。試練を与えてくれているわけですもんね。

浅利：そうですね。それで、セリフが出てこなかったときもあったんですよ。セリフは覚えているんだけれど、カチンコの音が鳴った瞬間にセリフが飛んでしまうとか、そういうスランプみたいな時期もあって、それに自分も対応できなくて……。

石丸：うわぁ……。でも、それにも何か原因があったんですよね？

浅利：たぶん心を閉ざしてしまっていたのかなと。周りを意識しすぎて、自分を見失っていたんです。

石丸：では、どこでそれが解消されたのですか？

浅利：いつなんだろう、とにかく（当時は）無我夢中でもがき続けて……作品のなかで藤川（一男）というキャラクターを演じていたのですが、いわゆる“ポンコツ”で最後の最後までドクターヘリに乗れなかったんですけど、（最終的には）乗ることができたんです。

それで、ヘリコプターでロケ地の高速（道路）に降りたシーンくらいから、全体がパーッと見えるようになってきて。

石丸：そのときに何か言われたとか“発見があった”みたいなことはあったのですか？

浅利：たぶん、役が（自分と）リンクしていた部分があったのと、単純にヘリコプターに乗った興奮と“ヘリコプターって高速に降りられるんだ！”という（笑）。

石丸：なるほど（笑）。

浅利：それに、ヘリコプターから見たら、（撮影現場が）本当に大災害なんですよ。患者さんが横になっていたり、救急車が止まっていたりとか……。

石丸：セットとして、そういう（状況が作られた）現場になっていたということですよね。そこで本当に（ヘリコプターで）降りて来たと。

浅利：そのシーンが大きなきっかけになったのかもしれないですね。

石丸：何かがそこでカチッと。

浅利：はまって。“やらねばならぬ！”となったんでしょうね。

石丸：それまでは人目を気にしたり、周りとの関係性に悩んでいると言っていましたけど、そこから徐々に解消されていったのですか？

浅利：そうですね。撮影時間も長かったので（演者やスタッフ同士で）お互いを励まし合っていたというか。“キツいなぁ”と感じたときに周りをパッと見ると、みんな本当にキツそうなんですよね（笑）。

石丸：ある意味、同志になってきたんですね。

浅利：同志と “心” を共有できたというか、本番に入る前にグルーヴができ始めていましたね。

石丸：“個”じゃなくてみんなと動き始めたというところが、まさにドラマのなかの世界観と合致していますね。

浅利：そうなんです。そういうパワーをいただいたタイミングでした。

＜番組概要＞
番組名：Grand Seiko THE NATURE OF TIME
放送日時：毎週土曜 12:00～12:25
パーソナリティ：石丸幹二
番組Webサイト：https://www.tfm.co.jp/nature/