水道橋博士 映画「福田村事件」を語る「テーマ自体が日本のタブーを扱っているので、重すぎて俳優が集まらない可能性もあった」

TOKYO FMの音声サービス「AuDee(オーディー)」で配信中の、放送作家兼ラジオパーソナリティの植竹公和が、自身のレーダーにかかった文化人を招いて送るスペシャルトーク番組「歌う放送作家 植竹公和のアカシック・ラジオ」。今回のお客様は、水道橋博士さん。出演した話題の映画「福田村事件」の制作背景について振り返りました。

▶▶「植竹公和のアカシック・ラジオ」」音声版


(左から)水道橋博士さん、パーソナリティの植竹公和


◆話題の映画「福田村事件」に出演

水道橋:これは邦画のなかでも、ちょっとしたエポックメイキングな史実に残っていく映画だと思います。

植竹:まず実際に起きた事件だものね。

水道橋:本当にあったストーリーをベースにしています。脚本も2年ぐらいかけて、創作した箇所もあるけれどもベースは本当にあって。起訴事実とか、いわゆる虐殺があったということは認定されています。

植竹:簡単にご紹介しますと、1923年9月1日に関東大震災が発生し、そのわずか5日後の9月6日、福田村(現・千葉県野田市)に住む自警団を含む100人以上により、利根川沿いで香川から訪れた薬売り行商団15人のうち、幼児、妊婦を含む9人が殺されました。

行商団は讃岐弁で話していたことで、朝鮮人と疑われ殺害。逮捕されたのは自警団員8人。逮捕者は実刑になったものの、すぐに釈放。これが100年の歴史のあいだ、闇に葬られていた福田村事件。僕なんかも関東大震災のときにあちこちで、朝鮮人の方が殺害されたというのをなんとなくは知っていました。この事件は博士自身は知っていましたか?

水道橋:知らなかったです。事件を調べた本もあるんですけど、ごく最近のものですよね。こういう事件が起きて、それを闇に葬っていたのを追悼するために碑が建てられたりするのも最近(20年前)のことです。

植竹:これは森達也監督の作品ですね。

水道橋:ドキュメンタリー畑出身の監督です。

植竹:出演者が豪華で永山瑛太さん、豊原功補さん、田中麗奈さん、ピエール瀧さん、井浦新さん、コムアイさん、東出昌大さん、そして博士。かなり豪華なメンバーです。

水道橋:森達也監督の第1回作品、初めての劇映画ということで俳優陣が「ぜひ出たい」と。普通だったら、テーマ自体が日本のタブーを扱っているので、重すぎて俳優が集まらない可能性もあったんです。

植竹:でしょうね。

水道橋:クラウドファンディングで制作資金を集めましたけど、どこの制作会社、テレビ局に回っても「こんな映画に出資できるわけがない」と言われていた映画なんです。

俳優の人たちは、そういうリスクを負っても「いや、こういう映画を作らないといけないんだ」ということで、すごく豪華な配役になっています。

植竹:このなかで博士がやっている役は自警団の役かな。

水道橋:そうです。在郷軍人会という、もともと軍人で村に帰って、軍人会に入ってそのなかで自警団を作るんです。当時、各地には自警団ができたわけですけど。

植竹:実は観る前まで、はっきり言って博士にはまったく期待していなかったの(笑)。それで観たら、なんて言うか(ピエル・パオロ・)パゾリーニとか(フェデリコ・)フェリーニの映画に出ているような役者が1人混ざっているみたいで怖かったよ。

水道橋:豊原さん、井浦さん、特に東出さんも、100年前にこんなかっこいい人たちはいないですからね(笑)。

植竹:(笑)。

水道橋:多分100年前の日本人の標準体型は俺だと思います。だから1人だけ小さいんですけど、居丈高にいばっているというね。本当の悪役ですよ。

植竹:意地悪な演技がすごくよかった。豊原さんと同級生という設定なのかな?

水道橋:井浦さん、豊原さんと同級生で「こんなに体型が違うのか」というね。

植竹:映画自体がホラー映画みたいになるのかと思ったら、ワーワー叫ぶんじゃなくて、すごく静かなタッチで続いていきますよね。結果がわかっているわけだから、観ていて終始ドキドキしました。

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「植竹公和のアカシック・ラジオ」音声版
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<番組概要>
番組名:歌う放送作家 植竹公和のアカシック・ラジオ
AuDee、Spotifyで配信中
配信日時:隔週金曜10:00〜
パーソナリティ:植竹公和

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