「尊敬するピアニストは誰ですか?」と聞かれる機会があります。
尊敬するピアニストは、もちろん、たくさんいます。
以前、この番組でアルゼンチンの女流ピアニスト、マルタ・アルゲリッチを紹介しました。
そのアルゲリッチともに世界最高峰のピアニストと称されるのが、イタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニ。
ということで今回は、マウリツィオ・ポリーニを紹介したいと思います。
アルゲリッチとポリーニ、2人の共通点は、
ショパン・コンクールで優勝していること。
ポリーニが、第6回(1960年)で18歳の時、
アルゲリッチが、第7回(1965年)で24歳の時に優勝されています。
(ショパン・コンクールは、5年に1度ワルシャワで開催)
そして2人は、ほぼ同い年。
アルゲリッチが、1941年6月5日生まれで、
ポリーニが、1942年1月5日生まれ。
2人とも、現在82歳。
一般的に、アルゲリッチは「情感豊かな感性での演奏」、ポリーニは「完全無欠で完璧な演奏」と言われていて、対照的な演奏のスタイル。
どちらが素晴らしいかは、比べることができません。
完成された演奏から、ミスター・パーフェクトと称されるマウリツィオ・ポリーニは、
1942年、イタリアミラノ生まれ。
ハンス・フォン・ビューローの流れをくむカルロ・ヴィドゥッソに師事。
11歳で師と共にジョイント・リサイタルで舞台デビューを果たします。
1959年、ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院=ミラノ音楽院を卒業。
1960年、ショパン・コンクールでは、審査員全員一致で優勝。
当時審査員長を務めていたアルトゥール・ルービンシュタインは、「技術的には我々審査員の誰よりも上手い」と言ったそうです。
その後、演奏活動を休止しますが、1968年に演奏活動を再開。
これまでに数々の国際的な賞を受賞。2007年には、ショパンの「夜想曲集」で、グラミー賞の器楽部門を受賞しています。
私が衝撃を受けたのは、ショパンのエチュードの演奏。
エチュードというのは練習曲のことで、おなじみの別れの曲も含まれています。
この曲も、はじめこそバラードで美しいのですが、途中で一変、難しいシーンが登場するんです。
この曲、指運びがすごく難しいのですが、ポリーニは手が大きいので、ドからソまで届くらしいです。
私は手が小さい方なのでドからドまでしか届きません。
これは脅威です。
ポリーニのエチュードの演奏で最も驚いたのは、エチュード一番。
シンプルで同じようなメロディが延々と続くのですが、逆に、歌い上げることもできず、ごまかしもきかない。
1度弾き始めたら最後までノンストップのジェットコースターのようなんです。
途中で、何度かミスタッチをしそうになるがポリーニは全くミスがない。
それどころか、やすやすと、楽しそうに弾いている。
子供の頃、レコードを聞いた時、こんなピアニスがいるものかと恨めしく思ったこともありました。
今思うとこの時の演奏はポリーニ30歳。(1972年頃)
若きピアニストとして世界中でコンサートをしていたんですね。
1974年に初来日。その後、何度も来日公演をしているので、好きだという日本の神社などを見て回っているかもしれませんね。
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