美崎牛本店代表の美崎信二さんです。よろしくお願いします! 初めまして。
初めまして!
石垣初めて来ました!
オーリトーリ!
え?
いらっしゃいませですね、沖縄本島でいうメンソーレ、石垣ではオーリトーリといいます。
全然違いますね。
国が違いますね(笑)
本題ですが、美崎牛本店はいつ創業ですか?
前身で、石垣ミートしんという、自分一人でお肉屋さんを立ち上げたのが2009年です。それから2013年に、今の場所で株式会社美崎牛本店として法人化してオープンしました。
ちょうど10年ですね。今日石垣に着いて空港から直行して来たんですけど、空港から車でそんなに時間かからないですよね。そんな美崎牛本店なんですけど、お父さんとお兄さんが牧場を経営されているんですよね?
そうですね、親父、お袋、兄貴、僕で、平成元年に有限会社美崎畜産を始めました。
お父さんが会社をやろうってなったのですか?
そうです。親父もそれまでは個人で小さく、牛を何頭か飼っていただけでした。1頭目を飼い出したのが、僕と同級生なので47年前で、その1頭から始まったと聞いています。
石垣島といえば石垣牛がすごく有名だと思いますが、石垣牛と美崎牛の違いはどんなところですか?
もともと僕らは牛を肥育して、JAさんに納品して、石垣牛として販売していた時期もあったんです。僕らは創業当初から餌にこだわっていて、餌のブランドはこれしか使わないというのを決めていたんです。だけれど、ブランド化となると、餌を統一しようという動きになってくるんですよね。そうすると我々のこだわりと合わないので、自分たちのオリジナルブランドに変えたという経緯があって。なので、石垣島で肥育という環境は変わらないので、一番違うことといえば餌ですね。
餌が違うっていうのが美崎牛ですね。牛が飲むお水にもこだわっていると聞いたんですけど、於茂登岳の天然水をひいているのですよね?
そうなんです。僕が中学生の時、すごく山奥に、親父が牧場をする候補地として連れて行かれて、こんなところで牧場ができるのかと正直思いました。牧場のイメージとして、開かれた綺麗なところっていうのがあると思うんですけど、本当に山の中で、なんでこんなところでと思いました。今思えば、於茂登岳のすぐ横に通称水岳っていう山があるんですけど、ちょうどその真ん中で、地下には水路が通っているんでしょうね。牛には水が命というのが親父のポリシーだったみたいで、水がなくなるところでは動物が育てられないというのがあったみたいです。その場所はやっぱり湧き水が豊富で、どんどん地下から湧き出てきて、夏はすごく冷たくて、冬は暖かい水なんです。
人間がいい水を飲むといいのと同じように、牛が飲む水もやっぱり自然のものがいいと思っているので、そんな面では恵まれた場所にあるなと思っています。
お水にも、餌にもこだわってできた美崎牛なんですね。
そうです、頑固なまでにこだわってます(笑)
そんなこだわりのある美崎牛なんですけど、石垣に来ないと食べられないのかなと思ったんですけど、色々店舗もありますが、ふるさと納税の返礼品としていただけると伺ったので多くの人に食べてもらいたいなと思いました。それから、美崎牛って口に入れると脂が人の体温で溶けるって本当ですか?
そうなんです。今使っている餌が7種類の穀物を配合してるんですけど、その配合によってできる脂があるんです。脂って、お肉を食べたときに、胃のなかで溶けないとくどくなりますよね。2、3キレ食べて胸焼けするというのが僕らは嫌で、人間の体温36度で溶けるような脂になる、牛の餌を作りました。もちろん初めからうまくはいかないですけどね。
親父にも兄貴にもよく言われていたのが、お肉を人差し指と親指で掴んで脂を握るんですけど、そうするとなくなるんですよ。カスも残らない、何もなくなるんです。それがいい脂だと、僕らは昔から親父に言われてて。
牛って出荷するまでに2年かかるんですけど、ある餌の配合で2年間育てて、今言っていた、つまむのを初めてやっと試してみるんです。でも溶けない。そうするとまたイチから餌を考えて、結果が出るのはまた2年後ですよね。それを繰り返してたどり着いたのが今の餌です。今は、人間の体温で溶ける脂になってるのがうちの売りです。
食べたお客さんが「美崎牛はどうしてこんなにたくさん食べられるのかとか、食べても全然くどくない」って、初めてのお客さんからも言われるので、それはこだわった成果だなと思います。
試行錯誤を繰り返して、お肉をつまんで最初に溶けた時のことって覚えてますか?
もちろん。日本全国兄貴と一緒に牛肉を食べて回ったんですけど、溶ける肉もあるんですよ。そういう人たちの肉を見て、プロだな、上手いな、羨ましいなって、たくさん思ってきたので、自分たちのものがそうなれた時に、すごく嬉しかったです。でも、同時にプレッシャーも感じました。もうここまできたら、もっと先にいかないといけない。試運転が終わってやっとオープンできた感じなので、喜びと共に、めっちゃ売らないといけないというプレッシャーはありましたね。
そういうお気持ちが今の美崎さんの行動と繋がるなとお話を伺っていて思いました。そして、ふるさと納税のお肉なんですけど、お肉ってすごく悩むと思うんですよ。美崎牛はどの部位がおすすめですか?
今人気があるのが、美崎牛ハンバーグです。もちろん皆さんに美味しいて言ってもらうためにハンバーグも作っているんですけど、僕としては切り身を食べて欲しいっていうのが本音です。
赤身に、肉本来の旨さと肉汁がぎゅっと詰まった肉を目指しているので、赤身も柔らかいのが売りです。もちろん、霜降りから赤身まで揃えているんですけど、赤身を食べてもらうと「あ!」っていう発見があるんじゃないかなと思います。
赤身が美味しいっていうのは美味しいお肉の証拠ですよね。
はい、肉を食べなれてる人は、霜降りから入って、食べなれてくると赤身になって、また霜降りに戻ったりします。2回転くらいして、50歳くらいになると赤身がいいかなってなりますよね(笑)
海外に広めるために精力的に取り組んでいらっしゃると思います。台湾店を開業されたそうなんですが、海外初めてが台湾で、出発点として選ばれた理由と台湾店の状況を教えていただけますか。
美崎牛というブランドにしたのと一緒なんですよ。個人の名前をつけなければ、世間の人は、食べた時に「この肉美味しいけどどこの肉?」ってなるんですよ。自分たちの名前をつけて売っているということは逃げられなくて、妥協ができないんですよね。
数年前に同級生たちと台湾旅行に行った時に、初めての台湾で食べ物もすごく美味しくてすごく台湾が好きになって。住みたいなとも思って、みんなの前で言ってしまったんですよ、「1年後には絶対お店を出す」って。
えー!
「美崎は有言実行な男だからやるだろ」ってみんなに言われて、みんなに言った手前、絶対やってやろうと思って、本当に1年以内にオープンしました。
勝手に想像してたのは、日本のお肉が流行ってるとか注目されてるとかもあると思ったんですけど、完全に旅行に行った時のフィーリング、ここでやりたいと思ったっていう気持ちだったんですね!
子どもみたいなんですけど、これ買いたいとか、ここでやりたいとか、本当にそのくらいの軽い考えでしたね。でもその中にも、台湾の人たちが石垣島に旅行に来て、うちにもけっこう食べに来てくれてて、「こんな美味しいお肉食べたことない」っていう声を聞いていたので、もしかすると合っているかもしれないと思ってはいました。距離的に、石垣島から東京よりも台湾の方がすごく近いのもあって決めました。
いろいろお話を伺っていると、考えて考えて準備してっていうのももちろん大事なんですけど、まず行動するというパワーが美崎牛本店なのかなという感じがしました。さらに今後の展望を聞かせていただいてもいいですか。
美崎牛本店という自分の会社を持って10年、こういう取材がない限り、自分の歴史ってあまり振り返らないんですけど、やっぱり10年経って、台湾店、東京の赤坂店オープンしたり、この夏は那覇店もオープンしたってなると、かなりあちこちに美崎牛が食べられる場所ができたなと思います。
僕、美崎牛を世界一のブランドにするってずっと言ってるんですけど、世界一にするっていうのは、必ずしも世界に出ていって一番にするというのではなくて、自分の生まれ育った石垣島にいても、世界一になれるんじゃないかなって正直思ってきていて。前までは、外に出て売らないとって思っていたんですけど、逆に外の人たちが「石垣島の美崎牛って美味しいみたいだから、石垣に行って食べてみよう」って、石垣島にわざわざ食べにきてくれるようになったら、それが、自分の目標の最終地点なのかなと思います。
世界に広めることで、石垣島への恩返しというか、みんなを石垣に連れてくるようなことですよね。
僕本当に石垣島が大好きなんで。自分のこと以上に島のことをやりたいっていうのが僕のエネルギーなんですよ。石垣島にたくさんの人に来てほしいですね。そして、夢は、クルーズ船1台分のお客さんに全員うちのお肉を食べに来てほしい。それぐらいの大それたこと考えてます。
それがそのうち実行されるんだろうなってお話を聞いてて思いました。
言ってしまったんでね(笑)
配信してます(笑)
してますよね、今後はそこに向かっていこうかなと思います。
最後に、石垣島の一番の魅力とか、おすすめの場所はありますか?
やっぱり石垣といえば海っていうのがスタンダードだと思うんですけど、人が一番の魅力だと思います。
一番は島の人の優しさ。やっぱり石垣の人って誰にでも優しくて、いらっしゃい、よく来たねって、歓迎してよくしたりっていうのがあると思うので、そういうのもセットで味わってもらえたら、また来たいなって思ってもらえるのかなと。石垣では、島の人たちとコミュニケーションをとりながら、美味しいものを食べてほしいです。
不思議なもので、石垣で食べるものって県外で食べると味がちょっと違うんですよ。ずっと試してるんですけど、石垣で食べるパインと東京で食べるパインは味が変わるし、肉もそうだと思うんですよ。何が違うのかって、キザな言い方だと思うんですけど、自然の調味料っていうか、やっぱり島中海風が吹いてるし。ここで食べるから美味しいっていうのはありますよね。
いろんなお話たくさん聞かせていただいてありがとうございました。これから先多分今日おっしゃったことが形になっているんだろうなって想像しながら、これからも美崎牛をふるさと納税などで楽しみたいと思います。ありがとうございました!
ありがとうございました。