2020年12月26日

西村由紀江のSmile Wind

年末、クリスマスソングの次に聴こえてくるのが、
ベートーヴェンの「歓喜の歌」のメロディ。

「歓喜の歌」を聴くと、いよいよ年の瀬、
今年も、もう終わりなんだなと感じます。

「第九」といえば、今年はベートーヴェン生誕250年です。

ベートーヴェン、どんなイメージをお持ちでしょうか?
学校の音楽室に飾ってあった肖像画。髪を振り乱した
厳しい顔を思い出す人も多いでしょう。


そのベートーヴェンですが、音楽界に数々の革命を起こしました。
そして波乱万丈の人生でした。

ベートーヴェン、、、
今日は、その生涯を名曲とともに辿っていきました。

まず、一つ目のベートーヴェン破天荒伝説。
音楽の概念を変えた!

それまで、音楽というのは貴族のための趣味のようなものでした。
サロン、つまり宮廷のプライベートなお部屋で聞くBGM的存在です。

なので大きな音は必要なかったんです。というより大きな音は邪魔。
モーツアルトの時代まではチェンバロを使っていました。
しかし、それでは飽きたらなかったのがベートーヴェン 。
音楽を貴族の人たちの趣味ではなく、民衆に伝えたい。
そしてお金のとれるコンサートスタイルを考えました。

室内のサロンでなくホールで弾きたい。
そのためにはチェンバロではなく、ピアノが必要。
そのピアノの大きさも、だんだん大きくなり、
しかも鍵盤も増やしていきます。

当時もベートーヴェンは大スターでしたから、
新しい楽器を開発すると、メーカーがこぞって意見を聞きに来る。


おもしろい曲があります。
低音域、つまり低い音が出るようになった頃に作られた楽曲。

性能がいいピアノがベートーヴェンのもとに届いたとき、
その楽器の性能に喜びを覚えて作曲されたといわれているピアノソナタ、
「ワルトシュタイン」

「こんな低い音が出るようになったぞ」という
ベートーヴェンの、会心の笑顔が思い浮かびます。

二つ目のベートーヴェン破天荒伝説。
曲の作り方も破天荒!

ベートーヴェンの音楽の特徴、それは曲のはじまりのインパクト。
サロン、室内での演奏ではインパクトを求められていませんでした。
BGMだから。
でも、それではダメ。曲が始まったら誰もが振り向くような音楽を作りたい。
その際たるものが、皆さんもおなじみ、「運命」です。

曲の始まり方にこれ以上インパクトのある曲は、
今もないですね。

三つ目のベートーヴェン破天荒伝説。
プライベートも破天荒!

ベートーヴェンは引っ越しが多かった。一説によると70回以上。

理由は、部屋の整理ができなかったので、
楽譜など散乱して「散らかってくると片付けるのがめんどくさい」
だから、家ごと引っ越すと言われていていました。

まぁ、そんなちょっとガサツなところもあるベートーヴェンですが、
女性にはマメだったんですね、、、。
恋多き人でした。

それも相手は伯爵夫人からピアノを教えている教え子まで、節操がない。
どうやって気持ちを伝えるか、、、。
曲を送るわけです。ラブレター代わりです。

この曲は、テレーゼという女性に送ったと言われています。
とても有名な曲。
ベートーヴェン40歳、テレーゼ18歳。恋は成就しませんでした。

20代後半から耳が聴こえにくくなり、
40歳では完全に聞こえなかったと言われているベートーヴェン。

オーケストラの指揮をしていても、
観客の拍手が聞こえずオーケストラの団員に促されて
後ろを見てお辞儀をしたとか。

逆にそんな状態で、どうやって曲を作り、指揮をしていたのか、
そのこと自体も破天荒です。

さあ、ベートーヴェンは次々と新しい曲、
手法を生み出すので常に人々の注目の的でした。
でもそれが徐々にプレッシャーになってきます。

ネタもなくなってきた。精神的に追い詰められたベートーヴェンが
最後の切り札として作った最高傑作が、あの第九です。
これはすべてが桁外れ、オーケストラの人数も多く、
なんといってもオーケストラの曲に合唱が入るなんていうのは掟破りでした。

今年も年末は、世界中でこの第九が鳴り響くことでしょう。

何もかも破天荒なベートーヴェンでしたが、
私が今、こうしてピアノを弾くことができるのも
数々の概念を打ち破って革命を起こしてくれたおかげです。



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