防災をより身近なものとしてとらえるために、
東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は目黒区です。
どのような特徴がある区なのか、目黒区の防災課長に伺いました。
住宅街というのが大きな特徴です。
渋谷や新宿のような大きな繁華街はなく住宅街が密集しています。
もう一つの特徴として目黒川があり、目黒川が縦に通っています。
目黒川を谷底に高台があり、坂が多い、というのが地形的な特徴です。
目黒川は、浮世絵にも描かれたことがある歴史のある川で、桜の名所としても有名ですが、
都市型の河川特有の危険性として、
台風やゲリラ豪雨などの際に急激に水かさが増える恐れがあります。
護岸工事や下水道対策は行われていますが、水害のリスクが完全に無くなったわけではなく、
排水が追い付かなくなって水が溢れてくる「内水氾濫」がいまも起きている状況です。
近年は、台風の大型化や線状降水帯などによる被害も頻繁に発生していて、
2019年の台風19号では、目黒区として初めて避難勧告を発令しました。
さいわい目黒川は溢れなかったものの、様々な課題が浮き彫りになったということで、
目黒区では、水害対策に力を入れるようになっているといいます。
これまでどちらかというと震災に防災の重きを置いていましたが、
風水害についても、急きょ検討体制を整えて様々な取り組みを進めています。
たとえば「風水害対策指定職員」といって、区職員の中から、区内在住や近隣区在住の職員が、
風水害の際に集まって災害対応をすることにしました。
また、情報発信体制の改善として、
(区の)ホームページにアクセスが集中しても見られるようなシステムに整えました。
災害時のマニュアルでは、風水害編を整備。
避難所での携帯電話の充電対策として、停電しても充電できるよう蓄電池を整えるなど、様々な対策をとっています。
水害の際に、浸水する区域や、その程度、避難場所などについては、
目黒区の「
水害ハザードマップ」で確認しておいてください。
ところで、風水害の際の避難所は、期間も短いと想定されるため区の職員が運営しますが、
震災時は、区の職員が災害対応に追われてしまうため、避難所は地域の住民で運営します。
そのため、地域住民を中心に組織する「避難所運営協議会」というものがあって、
平常時から避難所運営のルールなどを話し合っていて、
これを区の防災課がサポートし、運営費の助成もしています。
また、地域の防災リーダーを育成するという観点から、
防災士の資格を取る際の費用の助成もしているということで、
住民の力が不可欠と考える目黒区では、
区民の防災意識の向上を第一に助成などを行っているということです。
また、住宅街の多い目黒区では、災害時に多くの人が避難所へ向かうと、避難所不足が懸念されます。
新型コロナウイルスのような感染症が流行している際には、
クラスターの発生など新たなリスクが生じる可能性もあるため、
区では可能な限り在宅避難を呼びかけています。
水や食料、常備薬などの備蓄や、家具の転倒防止といった
自宅内の安全確保が重要になってきますので、ぜひ日ごろから気を配るようにしてください。
≪関連リンク≫
・目黒区防災HP
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/bosai/index.html
・目黒区水害ハザードマップ
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/bosai/type/ooame/map.html
・目黒区防災地図アプリ
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/bosai/map/bosai_app.html
・災害に備える
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/bosai/sonaeru/index.html