防災をより身近なものとしてとらえるために、
東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は新宿区です。
新宿区は、ターミナル駅と繁華街、オフィス街、住宅地と、様々な面を持っていますが、
まず、新宿区に“住んでいる人たち”に向けた対策について危機管理課長にお話しいただきました。
新宿区の人口が35万人近くいる中で、約8割がマンションなどの集合住宅に住んでいます。
マンションに住んでいる方々が災害時に一斉に外に飛び出したり、避難所に向かったりすると、
たいへん混雑・混乱しますので、マンション内でしっかり防災対策をとっていただきたい(と考えています)。
そのため区では、マンションの管理組合等を単位とした自主防災組織の結成の促進に取り組んでいます。
自主防災組織を結成していただくマンションに対して、
災害時に必要となる防災資機材、例えば、小型発電機や組み立て式のトイレ、
エレベーター内に災害用キットを設置するためのキャビネットなど、20万円を上限に助成しています。
区が選定したマンション防災用の資材・機材のカタログが作られていて、
そこから選んだものを現物支給する
(マンション自主防災組織防災資機材助成)事業を行うなど、
新宿区では
マンションの防災対策に力を入れています。
一方、夜間人口およそ35万人に対して、
通勤・通学者などを加えた昼間人口は77万人余りと倍以上に膨れ上がります。
そこで課題となってくるのが、帰宅困難者対策です。
こうした人たちが一斉に帰宅しようとするのを抑制するため、
企業や学校などに対して、関係者が2~3日過ごせるよう備蓄を促す一方、
新宿駅周辺では、商業施設や地下街、ホテルなど、およそ100の企業・団体が参加して
帰宅困難者対策の協議会を作り、訓練や防災セミナーなども行っています。
そして、区の人口の12%を占め、135か国以上、4万人強にのぼる
外国人を対象とした支援や、
女性の目線を取り入れた避難所の運営にも力を入れています。
たとえば、ワンタッチ式のテントがあればそこで授乳ができるんじゃないかとか、
学校の備蓄倉庫には紙皿が備蓄しているが、一回使ったら捨ててしまう。
そこにサランラップをかぶせたら何度も使えるんじゃないかとか、いろんな意見をいただきました。
そういったものも備蓄物資の充実の中で、出された意見・要望についてはすべて配備しています。
(また、)アレルギーの問題もあります。
国が定める27品目を使用しないアレルギー対応のリゾットなども配備しました。
このほか、家の中の
家具の転倒防止器具や、
地震の揺れを感知して電気を止める
感震ブレーカーなどへの助成も、もちろん行っています。
また、大きな川がないからといって、新宿区に水害のおそれがないわけではありません。
神田川、妙正寺川といった河川の氾濫だけでなく、
大雨が集中的に降って下水の排水能力を超えてしまった場合に起こる、
都市型の水害にも気を付けなければなりません。
浸水やガケ崩れなど、自分の住んでいるところにどのような危険があるのか、
ハザードマップで確認しておく必要があります。
災害は、日ごろの対策でリスクを下げられる。
万が一のことが起きて後悔につながらないよう、
やれることはやっておきましょう、と、今回取材した危機管理課長は言います。
いつ来てもおかしくない首都直下地震や豪雨災害から命を守っていただきたい。
聞きたいな、ちょっと勉強したいな、ちょっとこいうことがわからないんだけど・・・。
そこはもう遠慮なく気軽に、新宿区の危機管理課へ、電話でもメールでも何でもよいので
問い合わせいただければ、丁寧にわかりやすく説明させていただきたいと思っています。
まずは地元の自治体に尋ねてみる、というのも、自ら取り組む防災の第一歩と言えます。
≪関連リンク≫
・新宿区 防災HP
https://www.city.shinjuku.lg.jp/anzen/index03.html