なぜ人種差別はなくならないのか? 2/10 NY Future Lab

毎週水曜日はNY Future Lab

これからの時代の主役となる「Z世代(10代~22歳)」と「ミレニアル世代(23歳~38歳)」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのか、さらにグローバルビジネスや海外進出企業も知りたいこれからの消費動向について、ミレニアル・Z世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していく。



☆シェリーさんのPresident記事はこちらから!

本記事の音声はこちらからお聴き頂けます!

今回はなぜ人種差別はなくならないのか?BLM運動で変わったNYのZ/ミレニアル世代の意識というテーマでお届けします。

<本記事を要約すると…>
●アメリカでは2月は”Black History Month”。
●NYは人種のるつぼと呼ばれているが、実際は黒人と白人が深く付き合ったりコミュニケーションを取ったりすることはほとんどない。理由は所得の格差による分断。白人の中には、BLM運動が始まるまで、アメリカにおける人種問題は解決済みだと思っている人すらいた
●コロナ禍で、アフリカン・アメリカンの失業率が顕著に高まっている。今政権が変わって、バイデン大統領が人種やジェンダー差別をなくすための政策にかなり真剣に取り組み始めているが、「下から変えていかなければ」という意識がNYの白人の若者世代に芽生え始めている。



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綿谷エリナ:綿谷エリナのOn The Planet 。この時間は「NY Future Labミレニアル・Z世代研究所」です。



キサラ:Hi I’m Kisala.

ヒカル:Hi I’m Hikaru.

ケンジュ:Hi I’m Kenju.

テツ:Hi I’m Tetsu.

ミクア:Hi I’m Mikua.

メアリー:And hi I’m Mary, welcome to New York Future Lab 2021.



綿谷エリナ:
今夜もニューヨーク在住のジャーナリストでミレニアル世代とZ世代評論家シェリーめぐみさんと電話が繋がっています。シェリーさん!

シェリー:
エリーさん! こんばんは~!

綿谷エリナ:
こんばんは~!

シェリー:
アメリカ、NYは2月に入ってから急に寒くなってきて、雪が降ったり、今日も昼の12時過ぎで晴れているのに気温は0℃です。

綿谷エリナ:
へ~!いつもそうですか?

シェリー:
いや、1月がいつもは一番寒いですね。今年は寒さが寒さが後になって急に来たっていう感じです。

綿谷エリナ:
そうなんですね!こっちはようやく「三寒四温だね~」っていう会話が飛び交っている感じです。

シェリー:
いいですね~、こっちはまだまだです。
さて、そんな2月ですが、アメリカではBlack History Monthと呼ばれています。
「黒人の歴史や文化を学ぼうという月」で、1970年に始まったんですけど、商業的なものでもなく割と地味で、アメリカ以外ではそんなに知られていないんです。
で、それに「なんでこんな大事なことを1年に1回だけ?」「なんでこんなに寒く短い2月に?」といった批判も絶えないわけですが…
ただし昨年以降BLMの影響で、かなり黒人歴史への関心が高まっています。
NETFLIXでもBlack History特集でかなり大量の映画やドキュメンタリーがフィーチャーされています。

さて、NYのミレニアル世代・Z世代の若者たちが本音で座談会するNY Future Lab。

今日テツがしてくれる話は、ちょっとどこでも聞ける話ではないです。
アメリカでなぜ人種差別がなくならないのか、その理由が今日の話を聞くとよくわかります。

ミレニアル世代27歳のテツの会社にはRacial Justice Learning Club、つまり人種問題について学ぶクラブがあるんですね。
テツの会社のCEOが立ち上げて、毎週火曜日ズームでミーティングをしています。
まずいつから、なぜ始まったのかを聞いてみました。

テツ:It’s started really with George Floyd incident and my CEO he never thought about racism in America before.

シェリー:始まったのは警官によるジョージ・フロイドの 殺害 のすぐ後で、うちの会社のCEOはそれまでアメリカの人種差別のことなんて考えたこともなかった。

テツ:And he had a conversation with this church leader. My CEO just asking questions He wanted to find out what’s going on, so decided to start the group created like a safe space for people to come in discuss things they are curious about and interested in.

シェリー:そこで彼はアフリカン・アメリカンの教会の牧師と繋がって、何が起きているのか話を聞くようになった。で、それで同じことをグループでもやろうと考えたんですね。人種問題に関心がある人が集まって、人の目や批判を気にせずに話せる場所を作ろうと思ったんだそうです。実際にはどんな話をしているのかな?

テツ:3 weeks ago this African American pastor who runs the church in East New York and he was telling us the everyday life of young black kid in East New York. And it was honestly like they are in war zone.

シェリー:例えば3週間前に同じアフリカンアメリカンの牧師で、ブルックリンのイーストニューヨークというエリアで教会をやっている人がゲストで加わった。その彼が地元の若者たちの話をしてくれたけれど、正直言って戦場の話かと思った。

テツ:They get like bullied and they get attacked by gangs if they do well in school and they are trying to make a better life for themselves. This is unimaginable and it’s like literally a mile or 2 away from where we live.

シェリー:成績が優秀だったり自分たちの暮らしを少しでもよくしようとしているだけなのに、地元のギャングに暴力を振るわれる毎日。そんなことが自分が住んでいる場所から2キロとか3キロ先で起きているなんて想像もできなかった。



綿谷エリナ:
本当にそうなんですね…

シェリー:
本当にそういうことが普通にあるんです。
このCEOは白人、テツはアジア系。この会社はほとんど白人の会社なんですけど・・

実は、こういうことが知られていないのは、人種のるつぼと呼ばれるニューヨークという場所に住んでいても、白人と黒人はあまり接点がないんです。

綿谷エリナ:
NYにいてもですか?

シェリー:
NYにおいてもです。すれ違ったりはしますよ、町でね。
でも同じ会社で働いていたりしても深く付き合ったりは実はそんなにはないんですよ。

なんでこうなるかっていうと、子どもの頃の教育ですね。
格差がますます広がる中で、所得が多い白人と低所得の黒人で住む場所が分かれる傾向はむしろ強まっているから、学校も別になっちゃうんです。地元の公立校に通うと小中高まで学校も別になるし、職場も、テック系とか、テツのようなスタートアップで働くのはほとんどが白人です。普段から分断が起きている訳です。

テツはアジア系なのでちょうどその中間のような存在ですが、ニューヨークに限らず、若い白人は黒人からこういう話を聞くチャンスはまずないので、実際に何が起きているか全く知らない、知らなかった。
だから、BLM以前には 、アメリカにはもう人種問題はなくなったと思っていた若者もたくさんいたんです。問題意識がないのだから解決のしようもないですよね。

このグループに参加しているテツの同僚も、おそらくこのクラブで聞くような話を全く知らなかったのではないかと思いますが、その辺り聞いてみました。

テツ:No, what not before. Me personally yes, But I don’t think any of the people from my company that's in the group right now. I don’t think they have any idea.

シェリー:テツはある程度知ってることもあったけれど、同僚たちはやはり知らなくてかなり驚いたりしている。

テツ:Yeah, it’s really a issue of your heart right? Like how you feel, you can know the knowledge but if you are in the place of privilege and if your heart doesn’t acknowledge that, then you are just gonna live your life that way kind of a blind.

シェリー:これって感じることができるかできないか、ハートの問題だと思う。 もし知識があっても、裕福な場所に住んでいて、起きていることを心で感じることができなかったら、一生何も見えないままだと思う。

テツ:They don’t know much but now that their hearts kind of accepted the fact that yeah this thing exist and we need this solve this because we are all here together.

シェリー:グループの人たちは知識はまだあまりないけれど、人種問題が存在していることを心から受け入れている。そして問題を解決しなければならないと思っている。なぜって僕らは同じ場所で暮らしているのだからね。

テツ:Now we are starting to think about you know what can we do? So we are gonna make sure that always hire one or two African American interns in our company.

シェリー:だから今僕たちは、何ができるかを考え始めている。まずはアフリカンアメリカンのインターンを一人か二人必ず雇うことからはじめようと思っている。



綿谷エリナ:
うーん。そうね。何かできることからね。

シェリー:
そう。黙って待っていても差別は無くならないから、何が起きているかをしることから、そして心で感じることから始めようとしている人も増えています。

アフリカン・アメリカンのインターンを雇うというのも同じ。今コロナでアメリカに失業者が溢れる中一番失業率が高いのもアフリカン・アメリカンなのね。
あと、卒業してもなかなか職につけない、将来を一番不安に感じているのは、若いZ世代のアフリカン・アメリカン。そういうことを知ったからこそこういうアイデアが自然に出てくるという訳ですね。

今政権が変わって、バイデン大統領が人種やジェンダー差別をなくすための政策に
かなり真剣に取り組み始めていますが、結局は上からではなく、やっぱり下から自分たちの意識から変えなければ変わらない。それを強く感じているとテツは話してくれました。

ちなみにね、最近日本でも話題の国連のSDGsってあるじゃないですか。17のゴールの中にも差別・格差の解消が入ってますから、こういうこと日本人も知っていった方が良いと思うので、これからの世代の声、引き続き聞いて行きたいと思います。

綿谷エリナ:
シェリーさん、今週もありがとうございました。

シェリー:
ありがとうございました!

綿谷エリナ:
そしてNY Future Lab、JFNアプリAuDee そしてSpotifyでもぜひチェックしてみてくださいね。次回もお楽しみに。

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