これからの時代の主役となる「Z世代(10代~22歳)」と「ミレニアル世代(23歳~38歳)」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのか、さらにグローバルビジネスや海外進出企業も知りたいこれからの消費動向について、ミレニアル・Z世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していく。
☆シェリーさんのPresident記事はこちらからチェック!
今回のテーマはCOP26閉幕。アメリカZ世代の環境意識は??
<本記事を要約すると…>
●NYでは年始恒例のタイムズスクエアでのカウントダウンイベント。今年は実施予定。ただ、感染が再拡大しつつあることもあり、密になることに対し不安の声も挙がっている。
●COP26閉幕を受け、改めてNYのZ世代に環境に対する意識について聞いてみた。今年夏にNYで発生した大洪水を受け、気候変動を自分事としてとらえられたと語るメンバーもいれば、テッド・クルーズ(テキサス州の政治家)のように体験しても「人間活動による気候変動はない」が変わらない人もいる。
●アメリカではテッド・クルーズ上院議員をはじめ共和党議員のほとんどがバイデン政権の気候変動対策に反対している。というのも、多くの議員が化石燃料業界からお金を受け取っているっていう問題点も背景にある。そのためバイデン大統領の公約でもあった温暖化対策含む巨大予算がなかなか成立できない状態が続いている、とシェリーは指摘する。
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綿谷エリナ:綿谷エリナのOn The Planet 。この時間は「NY Future Labミレニアル・Z世代研究所」です。
シャンシャン:Hi I’m Shan Shan.
ヒカルHi I’m Hikaru.
メアリーHi I’m Mary.
ミクアHi I’m Mikua, and welcome to New York Future Lab 2021.
綿谷エリナ:
今夜もニューヨーク在住のジャーナリストでミレニアル世代とZ世代評論家・シェリーめぐみさんと電話が繋がっています。シェリーさん!
シェリー:
エリーさん! こんばんは~!
綿谷エリナ:
こんばんは!
シェリー:
2021年、あと1ヶ月半切ってしまいましたよ!
綿谷エリナ:
信じられない!
シェリー:
本当に早い!で、NYの新年と言えば、タイムズスクエアのカウントダウンですが、今年は通常通り開催だそうです。ただしワクチン接種者に限り、ということでね。またあの「密」が大丈夫なのか?とニューヨーカーみんな心配しているんですけど…
綿谷エリナ:
そうですよね、ちょっとわかんないですよね…。ワクチンの効果がどれくらい続くのか、とかもまだわからないこといっぱいありますもんね。
シェリー:
そうなんですよ。ただね、夏から秋にかけて屋外でメガコンサートがあったんですけど、密でも基本問題なかったそうなんですね。
綿谷エリナ:
へー!
シェリー:
というのがあって行われるんだけど、いまエリーさんがおっしゃった通りアメリカも、NYでも、感染者ジリジリ上昇中なんですね。
綿谷エリナ:
あー、ヨーロッパもそうですけど、世界的にやっぱりそうなんですよね。
シェリー:
そういうヨーロッパからの観光客もいっぱい来るわけよ。だから大丈夫だろうかと、ちょっと心配ですよね。
綿谷エリナ:
気になりますよね。だからまだ気が抜けないし慎重に、っていう感じですよね。
で、今日はその話じゃなくて環境問題の話ですよね?
シェリー:
そうなんですよ。COP26ね。グラスゴーで2週間にわたって行われた気候変動対策を話し合う国連の国際会議が終わりました。2030年までの地球の気温上昇を1.5度に抑えなければいけないというというパリ協定の合意をさらに強く再確認した、というあたりで終わったわけなんだけど、なかなか日本とかアメリカとか含めて排出国の足並みがそろわないという部分もあって、具体的な対策がこれから待たれています。
こうした地球温暖化にアメリカZ世代はどのぐらい危機感を持っているのか?というのが今日のテーマなんです。
綿谷エリナ:
すごい意識が高そうなイメージですけどね、若い世代は。
シェリー:
というのはね、ちょうど1年前アメリカ大統領選の直前に、「公約として最も重要なのはコロナ対策、それに続いて気候変動そして人種問題への取り組み」という話が出ました。
では今はどのくらい深刻に捉えているのか?聞いてみました。まずはヒカルから。
ヒカル:気候変動確かに地球の気温が上がったりとかいろいろ悪い、南極の氷が溶けたりとかいろいろ、既に今影響はありますけど、でも正直まだそこまで悪くなってないと思ってるので、まだなんていうんだろがんで言うところの早期発見みたいな。
シャンシャン:Previously I haven't been to like investing climate change and I know that it was like a severe issue. But recently like there was New York City flooding and that made me realize like how bad the situation is.
シェリー:シャンシャンはこれまで、気候変動が深刻だと頭では知っていたけれど、どうしても実感が湧かなかった。でもニューヨークの9月の豪雨、地下アパートや車の中で溺れたりと言うこれまでにはあり得なかった被害が発生12人もの人が亡くなったんですよね。これでどれほど深刻かということがわかった。
ミクア:Yeah I think so too because I forgot about the whole flooding thing like that was pretty crazy. and I didn't even like think about it like how it related to climate change. But like I feel like once people literally see it for themselves and experience for themselves, that affects and how serious it is, like you take it more serious.
シェリー:ミクアも同じで、あれが起きるまでに洪水が気候変動で起こるということにもピンときてなかった。だから人はそういうことを自分自身で体験するまでは、その深刻さに気が付かないのでは。身近で体験すればもっと実感が沸くのではないかとも思った。
綿谷エリナ:
まあそうね、自分毎になると一気に意識は変わりますよね。
シェリー:
そうですね。9月のNYの突然の洪水が相当ショックだったというのはあるんですけど、まあ個人差もあるけど、「気候変動への不安が非常に強い」、と言うアメリカのミレニアル&Z世代はおよそ7割で年長世代に比べずっと高いんです。
綿谷エリナ:
え、多い!
シェリー:
これから長く生きなければならないというのに加え、科学的事実に基づいた情報量も多いっていうのもあるんですね。それが、メンタルにも影響しているという調査結果もあるんですけど…。
そんな中で、「体験しなければピンと来ない」というミクアの意見に対し、
メアリーが「そんなことはない」と反論しているんです。
どういうことか、聞いてみてください。
メアリー:Some people will not take it seriously like for example Texas with their power outage and how cold it got in Texas because of climate change.
ヒカル:Ted Cruz
メアリー:Like during that time and then came back and said like oh I don’t believe in climate change like nothing happened even though he escaped also.
シェリー:いくら災害を体験しても真剣に取り組まない人もいる。例えばテキサスの政治家で大統領選にも出馬したテッド・クルーズ。彼は明らかに気候変動の影響である地元の大停電の時、誰よりも先に他の州に避難した。それでも「人間活動による気候変動はない」と否定している。例え体験してもそういう人がいる。
メアリー:It impacts so much but it cost so much and people are pretty greedy and don’t want to raise taxes or spend any money to fix the problem that they don’t even think exists crazy.
I have no faith in our government whatsoever to do anything about.
シェリー:気候変動の影響は本当に大きい。でも対策には莫大なお金がかかる。人々は欲深いからそのための税金をあげたりお金を使いたくない。だから目の前にある気候変動があたかも存在しないかのようにふるまっている。もうクレイジーとしか思えない。そういう政治家がたくさんいる政府を信じないし、彼らが何かができるとは思えない。
メアリー:What is also really frustrating is like people are trying to do on their own like recycling and upcycling not use plastic and yet like that does literally nothing compared to what these companies do and if the government is not going to regulate them, nothing’s going to happen.
シェリー:そしてもっと苛立ちを感じるのは、私たちがどんなにリサイクルやアップサイクルしたりプラスチックを使わないようにしても、大企業がやっていることに比べたら本当にちっぽけな影響しかないということ。政府がこうした企業活動を規制しなければ、何も起こらないと思う。
綿谷エリナ:
う~ん…意味がないわけでは決してないけれど、そういうもどかしさっていうのは感じているのかも。
シェリー:
そうなんですよ。でね、アメリカを含めた世界規模の調査があるんですけど、Z世代の若者の65%が「政府はちゃんと対策してくれていない」と感じている、と。これも高い数字だと思うんですけど。
綿谷エリナ:
そうですね。
シェリー:
特にアメリカでは、話に出てきたテッド・クルーズ上院議員をはじめ共和党議員のほとんどがバイデン政権の気候変動対策に反対している。というのは、多くは化石燃料業界からお金を受け取っているっていう問題点もあります。そのためバイデン大統領の公約でもあった温暖化対策含む巨大予算がなかなか成立できない状態なんです。
この200兆円の予算には、再生可能エネルギーへの移行に伴う経済構造の変化ができるだけスムーズに進むように、新たな職の創出とか、貧困対策とか、1人でも取り残される人が減るよう考えられたスケールの大きなものなんですよ。これが成立できなければCOP26で約束した排出基準がクリアできなくなる可能性も高いということです。
綿谷エリナ:
なるほど、約束したからにはやらなければいけないけど、なかなか進んでいないという状況なんですね。
シェリー:
そうなんですよ。で、科学的、技術的には可能なことが政治的な理由で進まないということが、アメリカの若者の気候変動への危機感はこうした政治へ失望から来ている。でも逆にいうと政治と大企業さえ動けば希望はあるという、悲観的、楽観的な見方が入り混じった気持ちみたいなのがすごくある、ということを感じました。
綿谷エリナ:
うーん。まあでもね、若い人たちがいろんな運動をしているから、全く動いていないわけじゃないと思うから、答えを見つけようと信じる気持ちって大事だと感じました。
シェリーさん、今週もありがとうございました!!!
シェリー:
ありがとうございました!
綿谷エリナ:
そしてNY Future Lab、JFNアプリAuDee そしてSpotifyでもぜひチェックしてみてくださいね。次回もお楽しみに。